ChatGPTエージェント機能で”コツコツ調べる(リサーチ業務)”を自動化する

情報収集や市場調査など、リサーチ業務には膨大な時間がかかります。その”コツコツ調べる”作業、実はChatGPTの「エージェント機能」が自動で肩代わりしてくれます。まるで専属リサーチャーを雇ったかのように、AIが自律的に情報収集・分析を行ってくれます。

目次

ChatGPTエージェント機能とは?

”ChatGPTに調べ物を頼む”と聞くと、質問を投げかけ、返ってきた答えをコピー&ペーストする、といった使い方を想像するのですが、「エージェント機能」はこれまた全く異なる技術です。

「エージェント機能」とは、AIが自ら計画を立て、必要な情報を収集・分析し、定めた目標(ゴール)に向かって自律的にタスクを遂行する機能のことです。

一度指示を出すだけで、まるで人間のように複数のステップをこなし、作業を進めてくれます。

従来のChatGPTとの違いをまとめると、以下のようになります。

項目従来のChatGPTエージェント機能
役割質問に答える「対話相手」タスクを遂行する「アシスタント」
動作一問一答形式(指示待ち)自律的・継続的(自ら計画・実行)
得意なこと特定の質問への回答、文章生成複数ステップにわたる調査、情報整理
「日本の人口は?」と聞くと答える「日本の人口動態を調査して」と頼むと、統計サイトを調べ、グラフを作成し、考察を加える

この「自律性」こそが、リサーチ業務に効率化をもたらす鍵となります。

これまで人間が何時間もかけて行っていた「関連情報を探す → 内容を精査する → 情報を整理する → レポートにまとめる」という一連の流れを、AIが自動で実行してくれます。

【実例】ChatGPTエージェントに「リサーチ業務」をやってもらいました

具体的にどのようにエージェント機能をリサーチャーとして活用すればよいのでしょうか。

「Deep Research」という機能もありますので、それぞれの特性を理解すると、より効果的に使い分けることができます。

項目エージェント機能Deep Research
主目的指示されたゴールに向けた自律的なタスク遂行特定の問いに対する網羅的で深い情報収集・要約
プロセス計画立案 → ツール使用(ブラウジング等) → 実行 → 修正問いの分解 → 複数ソースの横断的検索 → 情報統合・要約
柔軟性非常に高い。リサーチ以外のタスクも可能中程度。リサーチに特化している
アウトプットレポート、リスト、文章などゴールに応じて多様引用元が明記された詳細なレポート形式が主
最適な用途複数ステップにわたる調査や、形式が決まっていない探索的なリサーチ学術調査、市場分析など、信頼性と網羅性が求められるリサーチ

エージェント機能は特定の質問に深く答えるだけでなく、より幅広いタスクを柔軟にこなせるのが特徴です。

その性能を最大限に引き出すためには、指示の出し方に少しコツが必要になります。

AIの性能を引き出す「指示のコツ」

以下の4つの要素を盛り込むことで、AIはより優秀なリサーチャーとして機能するようです。

  • 役割 (Role): 「あなたは優秀なマーケットリサーチャーです」のように、AIに役割を与えます。
  • ゴール (Goal): 「〇〇業界の最新トレンドを調査し、重要なポイントを3つにまとめたレポートを作成してください」と最終成果物を明確にします。
  • 手順 (Steps): 「まず、主要なニュースサイトを検索し、次に関連する学術論文を調査し、最後にSNSでの言及を分析してください」と具体的な手順を示します。
  • 制約 (Constraints): 「2024年以降の日本語の情報のみを対象にしてください」「信頼できる情報源のみを引用してください」など、ルールを設けます。

【具体例】レストラン「Noma」の最新動向をリサーチする

実際に使ってみました。

ごくシンプルに、以下のような指示を出してみました。

「デンマークのレストランNomaの最近の活動や受賞履歴と、それに対する海外の有名な評論家やフーディーの評価や論調やレビューで良質なものを日本語にまとめて教えてください。」

先ほどの要素のうち2つを押さえています。

  • 明確なゴール: Nomaの「活動」「受賞歴」「海外の評価」を「日本語でまとめる」という最終成果物が非常に明確です。
  • 質の高い制約: 「有名な評論家」「良質なもの」という制約をかけることで、情報の質を高めるよう指示しています。

この指示を受けたAIエージェントは、まるで人間のアシスタントのように、自ら複数の海外サイトをコツコツとブラウジングしてくれました。

そして、収集した膨大な情報を整理し、最終的に時系列で分かりやすいサマリーを生成してくれました。

人間が手作業で行えば数時間はかかるであろう複雑なリサーチが、一度の指示で自動的に完了します。

AIエージェントリサーチャーを使いこなす注意点と展望

非常に便利なエージェント機能ですが、万能ではありません。

その特性を理解し、注意点を押さえておくことが重要です。

活用する上での注意点

  • 情報の正確性
    AIなのでどうしてもハルシネーションが生成されることがあります。実際に使用する際には、必ず一次情報や信頼できる情報源で裏付け(ファクトチェック)を取ったほうがよいといえます。
  • 情報源の限界
    AIがアクセスできる情報には限りがあります。最新すぎる情報や、特定のデータベース内の情報などはあるいは取得できない場合もあることを念頭に置いたほうがいいかもしれません。

面倒で時間のかかる”コツコツ調べる”作業をAIに任せることができれば、人間は、得られた情報の解釈や、そこから生まれる新しいアイデアの創出といった、より創造的で本質的な業務に集中できるようになりそうです。

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