【Gemini活用】苦手分野でもAIでプロ級の出力!”専門家の言葉を借りるプロンプト”を組み上げる

生成AIを活用したいのに、苦手な分野だと上手く指示(言語化)ができず、望む回答が得られない…。その分野の専門家がまとめた情報(本、PDF、動画など)をAIに「前提情報」として与えるだけで、出力の質が劇的に向上します。

目次

なぜ苦手分野だと、生成AIは”使えない”と感じるのか?

「生成AIに期待した答えが返ってこない…」

そう感じる時、私たちはつい生成AIの能力不足を疑ってしまいがちです。

しかし、特に自分の苦手分野や専門外のテーマでAIを使おうとする時、その”使えなさ”は生成AIのせいではなく、人間が抱える「言語化のジレンマ」に起因していることがほとんどです。

これは、生成AI(LLM)が持つ基本的な特性と深く関係しています。

生成AIは「指示されたこと」しか実行できない

生成AIは、ユーザーが入力したプロンプト(指示文)に最大限忠実に応えようとしますが、それは裏を返けば、指示が曖昧であれば、出力も曖昧になってしまいます。

例えば、あなたがデザインの専門家ではない場合、生成AIに「なんとなくイケてるロゴを作って」と指示したとします。

しかし、生成AIにとって「イケてる」の定義は不明確です。

  • どのようなテイスト(シンプル、豪華、レトロ)か?
  • ターゲット層は誰か?
  • 使用する色は?

これらの具体的な要件を言語化できなければ、生成AIは、一般的な、あるいは的外れな提案しかできないということになります。

GIGO(Garbage In, Garbage Out)の原則

AIやコンピュータ科学の分野で古くから言われる原則で、「ゴミ(質の低い情報)を入れれば、ゴミ(質の低い成果物)しか出てこない」という意味の言葉です。

とはいえ、苦手分野においては、私たちは生成AIに与えるべき「質の高い情報(=適切な指示や文脈)」をそもそも持っていません。

そのため、生成AIの性能がどれほど高くても、出てくる出力の質が低くなってしまうということになります。

悩み(入力)AIの出力(結果)
(例)マーケティング初心者
「新商品の売上を上げる方法を教えて」
「SNS活用、広告、SEO対策が考えられます…」

→(あまりにも一般的で、次の行動に移せない)
(例)プログラミング初心者
「このコード、なんか動かないから直して」
「エラーメッセージを教えてください…」

→(エラーの特定方法が分からない)

生成AIの能力を引き出す鍵:「優れた前提情報」

苦手分野における「言語化の壁」を突破する最も効果的な方法として、「その分野で一番言語化してる人=専門家」の知見を借りるという発想があると思われます。

「専門家の言葉」が生成AIの教科書になる

専門家が書いた本、論文(PDF)、解説ドキュメント、あるいはYoutube動画での発言は、その分野における「最も洗練され、体系化された言語」の集積です。

私たちがAIにこれらの高品質な資料を「前提情報」として与える行為は、例えれば、「AIに最高品質の教科書を渡して、その内容を完璧に理解させる」ことに他なりません。

専門家の知見は、AIのポテンシャルを最大限に引き出すための「鍵」となります。

この「前提情報を与える」というひと手間が、生成AIの出力を劇的に変える理由が以下の4点にあります。

圧倒的な文脈の補完

生成AIは資料全体を読み込み、そのテーマの背景、専門用語の定義、業界の常識を瞬時に把握できるので、ユーザーの曖昧な質問の意図を正確に汲み取れることになります。

出力の「型」の獲得

専門家が使う特有の言葉遣い、論理展開、議論の進め方(=トーン&マナー)をAIが学習するので、これにより、出力が表面的で一般的なものではなく、具体的かつ専門的な”プロの言葉”になります。

GIGO(ゴミ入れゴミ出し)の克服

入力の質が、「専門家の知識レベル」へと一気に引き上げられるので、出力もまた、専門家レベルの高品質なものへと変化します。

自分の能力を超える「発想」の獲得

生成AIは、ユーザーが思いもよらなかった専門家の視点や、資料内の複数の情報を組み合わせ、ユーザーの能力を超える新しいアイデアや解決策を提示してくれる可能性が高まります。

【実践】Geminiで専門家の知見を活用する具体的手順と結論

Geminiを使って、専門家の知見を活用する手順について。

ステップ1:前提情報(資料)の準備

まずはAIに読み込ませる「専門家の知見」を用意します。

形式は問いません。特に、Geminiは多様なデータを扱うことができる点が魅力です。

  • テキスト・ドキュメント: テキストファイル(.txt)、Word(.docx)、PDFなど。
  • 動画: Youtube動画のURL。
  • その他: Webページ、スプレッドシートなど。

ステップ2:Geminiへの資料読み込み

Geminiのチャット画面で、資料を読み込ませます。

  • ファイルの場合: クリップマークをクリックし、PCからファイル(PDFやドキュメントなど)をアップロードします。Googleドライブと連携させることも可能です。
  • Youtube動画の場合: 動画のURLをプロンプト入力欄に貼り付けるだけです。

ステップ3:「前提情報」+「自分の要望」プロンプト

資料を読み込ませたら、いよいよ指示を出します。

コツは、「①資料の役割」と「②具体的なタスク」を明確に分けることです。

以下の資料は、[分野]の専門家である[著者名など]による[資料の概要]です。

この[ファイル名またはYoutube動画]を前提情報として、私のために、以下のタスクを実行してください。

【タスク】
・[ここに具体的な指示を書く(指示は箇条書きでもOK)]

活用例

このテンプレートを使えば、苦手分野でも以下のような高度な依頼が可能になります。

例1:PDF論文を読み込ませて、企画書を作成

このPDFファイルは、最新の消費者行動に関する専門的な研究論文です。

この論文の内容を前提情報として、私(お菓子の新商品を開発する企画担当者)のために、以下のタスクを実行してください。

【タスク】
・この論文で最も重要な発見を3点、中学生でもわかるように要約してください。
・この論文の知見に基づき、20代女性向けの新しいグミのキャッチコピーを5つ提案してください。

例2:Youtube動画を読み込ませて、ブログ記事を作成

このYoutube動画は、有名なエコノミストが日本経済について解説している動画です。

この動画の解説内容と、動画内の専門家の口調(トーン&マナー)を模倣して、以下のテーマでブログ記事(約800字)を作成してください。

【テーマ】
・「なぜ今、個人投資家が円安に注目すべきか」

生成AIを「自分の能力の拡張」に使う

生成AIが使えないと感じる原因は、多くの場合、自分の苦手分野ゆえの「言語化の壁」にあります。

その分野で最も優れた知見を持つ専門家の「言葉」(本、PDF、動画)を、Geminiというマルチモーダルの強力なAIに読み込ませるというプロンプト術は、生成AIを「便利な検索エンジン」から、「能力を拡張し超えさせてくれる強力なパートナー」にしてくれると考えられます。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

長崎で活動する
税理士、キャッシュフローコーチ

酒井寛志税理士事務所/税理士
㈱アンジェラス通り会計事務所/代表取締役

Gemini・ChatGPT・Claudeなど
×GoogleWorkspace×クラウド会計ソフトfreeeの活用法を研究する一方、
税務・資金繰り・マーケティングから
ガジェット・おすすめイベントまで、
税理士の視点で幅広く情報発信中

目次