ついに日本でもGoogleDriveサイドパネルで利用することができるようになった「Gem」を駆使し、複数レシートPDFファイルからさらに簡単にfreee取込み用の取引データを作成することができるようになりました。
どのようなGemであるか、そして、プロンプト作成&アップデート過程についてご紹介します。
とうとう日本でも対応!GoogleDriveサイドパネルで「Gem」が使えるように
ついに日本でも、GoogleDriveのサイドパネルからGemが利用することができるようになりました。
「Gem」とは、よく使うプロンプト(AIへの指示文)を固定化して保存しておき、いつでもワンクリックで呼び出すことができる、いわば”あなた専用のAIアシスタント”を作成することができる機能です。
これがGoogleDriveサイドパネルに直接表示され、簡単に使用することができるようになったことで、フォルダ内の複数のPDFを一括で読み込み、簡単に内容を要約したり情報を抽出したりするといったことが可能になります。
これにより、例えば、これまで一枚一枚手で開いて確認し、会計ソフトに入力したりファイル操作したりしていた大量のレシートや請求書の処理を、劇的に効率化させることができる!といったことにも手に届くようになりました。
心配なのはGeminiサイドパネルのGeminiの性能があまりよくない点ですが、しかしこれは早晩、改善されていく可能性が高いと見ています。
※Geminiは、Google AI Studio→Gemini(単体)→サイドパネル、といった順に最新モデルが装備されるようになってきており、Gemini 3.0が観測されたと噂される今(2025年8月13日現在)、いずれ、サイドパネルの内蔵モデルが改善されていくことも容易に期待できます。
【実例】レシートを秒速データ化!「取引データ化Gem」を作成してみた
ここでは、私が作成した「取引データ化Gem」が実際にどのように動くのか具体的に見ていきます。
1. GoogleDriveでフォルダを開き、サイドパネルを開き、Gemを起動
まず、レシートのPDFファイルを保存したGoogle Driveのフォルダからサイドパネルを開き、あらかじめ作成しておいた「取引データ化Gem」を選択します。


2. Gemを実行し、データ化を指示
Gemが起動したら、対象ファイルをドラッグアンドドロップし、あとは実行を指示するだけ。Gemはプロンプトに基づいた処理を秒速で実行してくれました。


3. 取引データが瞬時に完成!
処理は数秒から数十秒で完了し、サイドパネル上にMarkdown形式のテーブルが出力されます。
この表には、日付・金額・支払先・摘要に記載しておきたいこと、といった、freeeへの明細アップロードに必要な情報が整理されます。

4. スプレッドシート出力しCSV化、または、あらかじめ作成の空白CSVにコピペ
生成されたテーブルは、そのままGoogleスプレッドシートに出力してCSVにすることもできますし、コピーしてあらかじめ準備した空白CSVに貼り付けることもできます。
それをそのままfreeeにアップロードすれば、他の連携データと同様に、仕訳登録処理を行うことができます。

【Gemの作り方】”対話で育てる”プロンプト作成3ステップ
ここでは、Gemへのプロンプトをどのようにして作成していくかが重要になります。
今回のGem、実際には、わりかしすんなり完成したというわけでもありません。
というのは、Gemの作成においては、オリジナルでプロンプトを考えてGemに設定しても、うまく作動しないことが多いです。
そこで、GemにはユーザーのしたいことやオリジナルプロンプトなどをGemにうまくマッチするようなプロンプトジェネレーター機能がついているのですが、そこで生成されたプロンプトも、どうしても時々”これじゃない感”になってしまうこともあります。
そこで、”GeminiのことはGeminiに聞く”という点に立ち戻ってみつつ、Gemのプロンプトを(Gem内のプロンプトジェネレーターではなく)Geminiに考えてもらうことにしました。
私が実践した手順は、以下の3ステップです。
したいことや目的を伝え、実現可能か、どのようなアプローチが良いかを対話を通じて壁打ちし、実現内容を具体的に確定させます。
Geminiに具体的な成果物を理解してもらえたら、「そのためにGemに設定するプロンプトを考えて」と依頼し、Gemに設定するプロンプトのたたき台を作ってもらいます。
実際にレシートPDFで出力を試し、出力結果を見ながら、「複数税率のデータ化処理が甘い」「摘要にはこのような内容も盛り込んで欲しい」などといった具体的な改善要望を追加し、プロンプトをアップデートしていきます。
このように、Geminiを通じ、対話を通じた改善プロセスは不可欠です。
その他のGem活用案
この「取引データ化Gem」の成功は、あくまで始まりに過ぎないと考えています。
OCR機能を活かしたデータ作成業務にとどまらず、GemそのものやサイドパネルでGem活用の応用範囲は実に幅広く、様々な業務を効率化できると考えられるためです。
Gemの名称 | 活用シーン | 出力品質向上のヒントになるかも? |
---|---|---|
お客様への連絡文章翻訳Gem | 専門的になりがちなお客様への確認事項の文章を、理解してもらいやすい表現に翻訳・改善。 | 「丁寧で親しみやすくお客様に寄り添うように」といった具体的なペルソナを定義する。 |
レポートの分析・改善提案Gem | 月次レポートを読み込み、税務面・財務面での改善ポイントや潜在的なリスクを概観し、盲点がないかの確認に用いる。 | 税務調査で指摘されがちな事項をまとめた資料や、融資審査のキーになってくるといわれているロカベンや財務改善に関する良質な資料を「知識」に仕込み、多角的な視点を与えてくれるようにする。思い込みや属人性の排除に役立てる。 |
経営アイデアブレストGem | 事業や業務の改善に関するアイデア出しに関する問いかけや壁打ちの相手。押さえておきたい事業改善ポイントを提示してもらい、盲点がないかの確認に用いる。 | 良質な資料を「知識」として活用したり、分布適合・スキーマ充填・目的関数の明確化といった生成AIの質を高めると考えられる研究しアプローチし尽くされていると思われる指標やマーケ理論などをあえて軸として設定し、出力の幅や内容を充実化させる。思い込みや属人性の排除に役立てる。 |
出力の質の鍵を握ると思われるのは、Gemの「知識」機能です。
「知識」機能には、実に様々な資料をアップロードさせておくことができ、Gemはそれらの情報を参照して回答を生成してくれます。
これにより、より良質な好ましい情報をベースとした、あるいは、自社の状況にカスタマイズされた、極めて質の高いアウトプットが期待できます。
AIは対話を通じて改善を重ねたり、知識を与えたりすることで、自社の業務のことをも深く理解した頼もしい参謀へと成長させることができると考えられます。