経営者の”勘と経験”に頼るのではなく、データに基づいた「経営管理の仕組み」が機能しているかどうかが大きいと考えられます。多くの繁盛しているお店が実践しているPDCAサイクルを軸に、お店を儲かる体質へ変えるための仕組み作りについて。
水野剛志著「飲食店経営で成功するための「お金」のことがわかる本」(日本実業出版社)を参考として。
店舗経営の3つの落とし穴
”長年の勘でこれくらい仕入れておけば大丈夫”・”味には自信があるんだからいつかお客さんは分かってくれる”といったこと。
もちろん経験や料理への情熱はお店にとって何よりの重要財産なのですが、それだけでは”落とし穴”があるかもしれません。
落とし穴1:天気予報頼りの仕入れ
「今日は暑くなるから、ビールの樽と冷奴を多めに仕入れておこう!」そう思った日に限って、夕方から急に肌寒くなり、ビールは出ず、温かい煮込みばかりが注文される…。
毎日の仕入れやメニューの判断を、その日の気分や漠然とした「勘」に頼ってしまうと、小さなロスが積み重なり、気づくと利益を圧迫してしまいます。
落とし穴2:見て見ぬふりの「お客様の変化」
いつもは締めにラーメンを頼んでくれるのに、最近は「じゃあ、そろそろ…」と帰ってしまうお客様。ホールスタッフの鈴木さんは、以前より笑顔が少ない…。
これらは、お店の未来を左右する重要なサインかもしれません。
しかし、日々の忙しさに追われていると、「まあ、そんな日もあるか」と、つい見過ごしてしまいがちです。
落とし穴3:「店長に任せてあるから」という油断
もしあなたが2店舗、3店舗とお店を任されるようになったら。
A店は繁盛しているのに、駅の向こうのB店はなぜかいつも暇そうだ。
「B店の店長は、もっと頑張ってくれないと困るな…」。
そう思うだけで、具体的な対策は店長任せになってしまうとしたら、お店ごとの状況を正確に把握できず、打つべき手も打てません。
「反省会」を宝物にする!売上を伸ばすシンプルな習慣
では、いつもお客様で賑わっている繁盛店は、一体何が違うのか。
それは、「うまくいくお店のサイクル」を回す仕組みを持っているからであると考えられます。
例)カフェオーナーの「気づきノート」
売上が伸び悩んでいたとあるカフェオーナーさんは、一冊のノートを用意し、営業後に**「①気づき(Check)」**をメモすることから始めました。
- 今日の気づき(Check)
- 雨の日は、意外とケーキセットの注文が多い。
- インスタを見て来てくれた2人組が「思ったより店内が静かで落ち着く」と言ってくれた。
この「現場レベルで使える、わかりやすい管理の仕組み」こそが改善の第一歩です。
次に、そのオーナーは、その気づきを元に「②作戦(Plan)」を立て、「③実行(Do)」に移します。
- 明日の作戦(Plan)
- お店のウリは「隠れ家みたいな静かな空間」にしよう!
- やってみる(Do)
- BGMの音量を少し下げて、インスタに「#静かなカフェ」と投稿してみた。
一番重要なのが、やりっぱなしにしないことで、次の日のノートに「インスタを見て『静かそうだったので』というお客さんが1組来てくれた!」と結果を書き込み、「④次の改善(Action)」に繋げていきます。
- 次の改善(Action)
- 「静かな空間」が好評なら、今度は「読書セット」みたいなメニューを作れないかな?
このように、【気づき → 作戦 → 実行 → 次の改善】というサイクルを回し続けることが、繁盛しているお店だけが知っているシンプルな習慣なのです。
繁盛への道は「作戦ノート」にあり!今日からできる第一歩
【比較表】あなたの店はどっち?儲からない店と繁盛店の決定的な違い
ステップ | 儲かっていないお店 | 繁盛店 |
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Step 1 お店の現状把握 | 業績判断の材料が乏しく、経営者自身の勘と経験で判断しがち。 | レジの記録やお客様の様子といったデータに基づき、お店の課題を的確に把握している。 |
Step 2 利益UPの改善活動 | 判断が遅れたり、誤った判断をしてしまい、結局何もしないことが多い。 | 「明日はこうしてみよう」という改善活動を、スタッフも巻き込みながらタイムリーに行う。 |
Step 3 その結果… | 大きな損失を被り、お店の業績がさらに悪化してしまう。 | お店の課題が解決され、お客様の満足度が上がり、さらに繁盛していく! |
お店を繁盛店に変える鍵は、この日々の「作戦ノート」にあります。
今日の営業を思い出して、「お客様の様子で気になったこと(Check)」を一つだけ書き出してみましょう。
次に、その横に「じゃあ、明日これをやってみよう(Action)」という小さな改善計画を一つだけ書き加えてみましょう。