感情に基づいて動作が起こるように感じますが、実際には動作と感情は並行しており、動作から感情が起こるということもあり得ると考えると、意識して動作を先に起こすことも重要と考えられます。
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)を参考にして。
「動作」と「感情」と「意志」の関係性
まず、「動作」と「感情」との関係性について、「感情」に基づいて「動作」が起こるように思いがちです。
楽しいから笑う、悲しいから泣く、など。
しかし、実際には、「動作」と「感情」は並行しているといわれています。
上記とは逆に、笑っていると楽しくなる、泣いていると悲しくなる、などのことも起こりえます。
ところで、「意志」を軸に考えると、「意志」は「動作」をコントロールすることができますが、「意志」は「感情」をコントロールすることはできません。
ということは、「意志」を通して「動作」をコントロールすることで、間接的に「感情」をコントロールできる余地もあるということになります。
クリスマスの笑顔
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)で紹介されていたニューヨークのあるデパートの「クリスマスの笑顔」というエピソードは、とても印象深いものでした。
クリスマスの笑顔
元手がいらない。しかも利益は莫大。
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)より
与えても減らず、与えられた人は豊かになる。
一瞬の間、見せれば、その記憶は永久に続く。
どんな金持ちもこれなしでは暮らせない。どんな貧乏人もこれによって豊かになる。
家庭に幸福を、商売に善意をもたらす。友情の合言葉。
疲れた人にとっては休養、失意の人にとっては光明、悲しむ人にとっては太陽、悩める人にとっては自然の解毒剤となる。
買うことも、強要することも、借りることも、盗むこともできない。無償で与えてはじめて値打ちが出る。
クリスマス・セールで疲れ切った店員のうちに、これをお見せしない者がございましたら、恐れ入りますが、お客様の分をお見せ願いたいと存じます。笑顔を使い切った人間ほど、笑顔を必要とするものはございません。
このエピソードのとおり、「笑顔」とは、最もコストパフォーマンスの高いもののひとつかもしれません。
どんなに高級な宝石をつけていても、高級な服を着ていても、笑顔がなければ、人はその人が幸福・魅力的とは思えないところがあります。
かといって、笑顔は笑顔でも、胡散臭い笑顔、作られた笑顔など心にもない笑顔をしていても、やはり人はその人が幸福・魅力的とは思えないところがあります。
「心の底からの笑顔」は、元手はいらずに、相手の心を豊かにすることができるものです。そして、やがては豊かになった相手からまた自分への好意が送られて、自分自身も豊かになることができます。
手元にありすぎて効用に気づかずにいがちですが、元手はいらずして他人も自分も豊かになれるものとして「笑顔」があり、それを大事にしない手はありません。
決心の強さに応じている
また、D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)では、リンカーンの言葉も紹介されています。
「およそ、人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ」
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)より
「心の底からの笑顔」に効用があるとはいえ、「心にもない笑顔」には逆の効果しか与えません。
ここでいう「心の底」が重要なのだろうと思います。
すなわち、”思っていること・感じていること”と”笑顔”が一致している必要があるということです。
ということは、思っていること・感じていることの気の持ち方(マインド)を整えてみることを試みていきたいところです。
上記の言葉どおり、幸福になろうと思うのであれば、幸福になろうとする決心の強さが必要なのだと感じます。