事務部門を事業を加速させる強力なツールへと変える独創的な知恵について。
ジョン・スポールストラ著「エスキモーに氷を売る」(フォレスト出版)を参考にして。
顧客の注意を引く「ゴム製のニワトリ」の知恵
事業において、既存顧客との関係を維持することは非常に重要だと考えられています。
ニュージャージー・ネッツでは、シーズンチケットの更新をためらう顧客に対し、非常にユニークなアプローチを行いました。
- 抱えていた課題:
期限までに更新手続きをしない「保留者」が多く、優良な席が直前まで確定しないため、早期に更新した顧客に対して不公平な状況が生じていた。 - 独創的な解決策:
保留者一人ひとりに、丈が90センチほどもある「ゴム製のニワトリ」を宅配便で送付した。 - メッセージ:
ニワトリには「ファウルアウトしないで(反則退場しないで)」というメッセージが添えられ、期限内の更新を促した。
この遊び心あふれる試みにより、更新率はチーム史上最高の93パーセントに達したといいます。
単なる督促ではなく、顧客の注意を惹きつけ、笑顔にするような工夫が事業の成果に結びついた好例と言えます。
「事務部門のおきて」が事業の成長を妨げる理由
事業の現場では、注文を処理する事務部門が意図せず成長のブレーキになってしまうことがあります。
事務部門は本来、事業を支える重要な部署ですが、以下のような「おきて」が働いてしまう場合があると指摘されています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 独自のペース | 注文の処理が急激に増えても、自分たちの仕事の安全を優先し、ゆっくりとしたペースで処理しようとする傾向。 |
| 非効率なシステム | 効率を上げすぎると人員削減につながる恐れがあるため、あえて非効率なまま維持されることがある。 |
| マーケティングへの反発 | 注文が殺到すると仕事が増えるため、成果を上げるための施策を疎ましく感じてしまう。 |
例えば、注文が山積みになると、古い注文が下になり、早く申し込んだ顧客ほど後回しにされるといった悪循環が生まれます。
このような状況では、どんなに優れたマーケティングを行っても、顧客の不満を招く結果になりかねないのかもしれません。
事務部門を事業の武器に変えるための2ステップ
停滞した事務部門を、顧客のための強力なツールへと再生させるには、二つのステップを同時に進めることが有効だとされています。
- 短期的な解決:
注文の山を解消し、顧客を待たせないために、一時的に外部の力を借りてでも即座に対応する体制を整えます。 - 長期的な解決:
時間はかかりますが、マーケティングのプロセスを強化するような新しい仕組みやソフトウェアを、自分たちの手で構築し直すことが求められます。
事務部門は、単に事務をこなす場所ではなく、顧客志向に基づいた「事業の顔」となり得る存在です。
迅速な処理や丁寧な対応が顧客の信頼を生み、それが「ジャンプ・スタート・マーケティング」を支える盤石な基盤となります。
事務部門を事業の推進力として再定義することが、組織全体の成長を左右する鍵になるのかもしれません。
