魅力が乏しいと感じられる商品であっても、マーケティングの工夫次第で事業を活性化させる道が開けるかもしれません。
ジョン・スポールストラ著「エスキモーに氷を売る」(フォレスト出版)を参考にして。
事業を活性化させる「ジャンプ・スタート」の考え方
事業が伸び悩んでいるとき、私たちはつい「コスト削減」という手っ取り早い手段を選びがちかもしれません。
しかし、著者はそれとは異なる「ジャンプ・スタート・マーケティング」という道を提案しています。
- 成長を優先する選択
一般的なリストラは短期的には収益が改善したように見えますが、長期的に見れば事業の成長を遅らせてしまう懸念があります。 - 楽しさと成長の両立
安定を維持するよりも、マーケティングによって停滞を打破するプロセスの方が、働く人々にとっても、経営を担う人々にとっても、より充実した経験になり得ると述べられています。 - あらゆる分野への適用
この原則は特定の業界に限ったものではなく、どのような分野のどのような事業にも応用できる可能性を秘めています。
苦しい時こそ「変動費」を増やすという逆転の発想
事業の状況が厳しいときにこそ、あえてセールスコスト(変動費)を増やすべきだという、一見すると驚くような視点が示されています。
| 項目 | 一般的な対応の傾向 | ジャンプ・スタート流の視点 |
|---|---|---|
| 景気が悪化した時 | セールスや広告の費用を削減する | セールスコストをあえて増加する |
| コストの捉え方 | 人件費を「支出」とみなす | 人件費を「将来への投資」とみなす |
事業が苦しいときほど、収益を生み出す「源泉」への投資が重要になるのかもしれません。
60万ドルか、3万2000ドルか
あるマイナーリーグのホッケーチームは、新しい大きな会場での1試合を成功させるために、6万ドルという多額の宣伝費を投じました。
その結果、観客は増え、入場料収入は3万2000ドル増加しました。
一見すると成功のように思えますが、実は「6万ドル投資して、3万2000ドルしか戻ってきていない」という、赤字の状態です。これは単発のイベントに頼り、長期的な収益構造を作れなかった例といえます。
もし、この6万ドルを宣伝費ではなく、「優秀なセールススタッフの雇用(変動費)」に使っていたらどうなっていたか。
著者は、彼らがシーズンを通して継続的にチケットを売り歩くことで、売上は60万ドルに達したはずだと指摘しています。
- 宣伝: その場限りの効果で終わってしまうことが多い。
- セールススタッフ: 信頼関係を築き、継続的な収益をもたらす「事業の資産」となる。
経営が厳しくなったときに人員を削減することは、一時的に帳尻を合わせる「守り」の対策にはなります。
しかし、それは事業の根幹にある「収入が足りない」という問題を解決しているわけではありません。
経済状況が思わしくないときこそ、ジャンプ・スタート・マーケティングの考え方は注目に値します。
あえて「攻め」のセールス体制を整えることで、単なるコストカットでは得られない「事業を世界レベルへ引き上げるための時間と活力」を手にすることができるかもしれません。
