売上に悩むとき、多くの企業は「新規顧客」を探しに外へ出ようとしますが、実は最強の武器は目の前にあります。ここで語られる「カンフル策」とは、既存顧客との関係を再点火させ、最小のコストで最大の利益を生む魔法の手法です。
ジョン・スポールストラ著「エスキモーに氷を売る」(フォレスト出版)を参考にして。
最強の「カンフル策」:既存客に「もう少しだけ」と直接頼む
マーケティングにおいて、大々的な広告や新規開拓は「劇薬」のように思われがちですが、著者はもっとも即効性のある手段を「カンフル策」と呼び、紹介しています。
それは、「現在の顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるように直接頼む」こと。
- なぜ既存客なのか?
まったく知らない人に商品を売るコストは、すでに一度買ってくれた人に売るコストの数倍かかります。信頼関係がゼロの状態から始めるよりも、すでに満足している人に「もう一歩」を促す方が圧倒的に効率的です。 - 直接頼む勇気
多くの企業が「そんなの通用しない」と決めつけますが、これは単に「断られるのが怖い」あるいは「やり方を知らない」だけだと著者は指摘します。 - 購入頻度の向上
週に一度来るレストランの客が、二週間に三度来るようになれば、それだけで売上は50%アップします。「頻度」の微増こそがジャンプ・スタートの鍵になります。
顧客リストは「眠れる宝の山」である
「カンフル策」を実行するために不可欠なのが、顧客の「名前・住所・電話番号」です。
著者は、顧客情報を捨ててしまうことを「宝の山をゴミ箱に捨てるようなもの」と厳しく戒めています。
本書で紹介されている、リスト活用によって死地から脱した2つの事例を比較してみましょう。
| 事例 | 抱えていた問題 | 実施した「カンフル策」 | もたらされた結果 |
|---|---|---|---|
| 金属探知機の販売 | 新製品を出す資金も広告費もない。 | 倉庫に放置されていた「保証書」から5,000人のリストを掘り起こし、手紙を送付。 | 反応率10%超。 |
| NJネッツ(NBA) | 弱小チームでファンが不在。 リストも毎年消去していた。 | 過去の購入者データを復元。 シーズンチケット保有者へ「追加限定パック」を提案。 | わずか234ドルの経費で、10万ドルの追加売上を達成。 |
お客様の”名前”を大切にする。そのことが、強力なマーケティング・ツールへと変貌させます。
購入頻度を最大化し、文化をジャンプ・スタートさせる
事業を劇的に成長させるのは、華やかな広告賞を獲るようなクリエイティブではなく、「誰が関心を持ってくれているか」を把握し、かつ、その人たちにひたすらに寄り添うことであると考えられます。
”カンフル策”を成功させるための3つのステップをまとめます。
- あらゆる接点で名前を集める
スケジュール表の送付、アンケート、子供からのファンレターに至るまで、関心を示したすべての人の情報をデータベース化する。 - 「特別な提案」を直接届ける
全員に同じものを売るのではなく、既存客が喜ぶ「上位プラン」や「限定パッケージ」を用意し、直接案内する。 - 「それは使えない」という固定観念を捨てる
どんな高額商品であっても、どんなB2Bビジネスであっても、最終的に買うのは「人」なのである。
ビジネスの停滞を打ち破りたいなら、まずは手元にある顧客名簿を見直しましょう。
既存顧客に「もう一度、もう少しだけ」と声をかける勇気こそが、あなたの会社をジャンプ・スタートさせます。
