停滞した事業を再起動(ジャンプ・スタート)させるための、リーダーの振る舞いと大胆なアイディアの活かし方について。
ジョン・スポールストラ著「エスキモーに氷を売る」(フォレスト出版)を参考にして。
事業のトップが「先頭」に立つことの意味
新しい顧客の獲得を成功させるためには、組織のトップによる「真のコミットメント」が欠かせないと考えられています。
単に現場にハッパをかけるのではなく、リーダー自らが以下の3つの要素を体現することが大切であると考えられています。
- 事業の最優先事項に据える
新しい事業機会の獲得を、社長や責任者のスケジュールにおいて最優先の課題として位置づけること。 - スタッフの焦点を絞る
営業担当スタッフが、既存顧客の維持だけでなく、新しい事業の獲得に集中できる環境を整えること。 - 慣例によらない予算投入
従来とは異なるやり方で、ある程度の資金を投じる決断をすること。
著者は、ニュージャージー・ネッツの社長時代には、スポンサー営業の担当者5人から自分に直接に報告させ、自らも営業の電話に加わったそうです。
銀行の幹部や弁護士と会う時間を削ってでも、新しい顧客との接点を優先する姿勢が、組織全体の空気を変えるきっかけになります。
少額でも効果を発揮する「クレイジー・マネー」の活用
「クレイジー・マネー」とは、決して無駄遣いをすることではありません。
少額であっても「非常に目立つ、一風変わったアイディア」にお金を使うことを指します。
これには、実際に新規顧客を獲得するだけでなく、スタッフに「新しいことに挑戦していいのだ」というメッセージを送り、士気を高めるという側面もあるようです。
本書で紹介されている、思わず驚いてしまうような活用例をまとめました。
| 事例 | 内容の工夫 | 得られた結果(一例) |
|---|---|---|
| 広告業界誌への掲載 | スポーツチームのロゴをあえて出さず、まったく別のことを強調したダイレクト広告を掲載。 | わずか3,000ドルの費用で、80万ドル以上の新規成約を獲得したとされています。 |
| 日本語新聞への広告 | 米国内の日本人駐在員をターゲットに、日本語新聞へあえて広告を掲載。 | 広告費1ドルに対し、チケット注文が20ドルという非常に高い投資対効果を実現しました。 |
一見「的外れ」や「風変わり」に見えるアイディアであっても、その背後にしっかりとしたターゲットへの洞察があれば、事業を大きく前進させる強力な武器になり得るといえそうです。
失敗を恐れない文化が新しい事業を育てる
なぜ、多くの組織で新しい事業の獲得が滞ってしまうのか。
未知の相手に接触し拒絶されることへの不安から、つい「後回し」にしてしまう人間の性質が関係しているのかもしれません。
だからこそ、リーダーが自ら現場に関わり、新しい試みを積極的に評価する姿勢を見せることが重要ではないかということ。
事業を再起動させるためのポイントは以下の通りです。
- リーダーが、内部の管理業務よりも「新しい顧客との接点」を優先する。
- 効率だけを求めるのではなく、時には「面白そう」と思えるような実験的なアイディアに少額の予算を割いてみる。
- ボトムアップを待つだけでなく、トップが率先して「慣例破り」のきっかけを作る。
「うちは効率第一だから、そんな遊びのような予算はない」と切り捨ててしまうのは、実は大きな機会損失に繋がっているのかもしれません。
少しの遊び心と、確かな実行力を持って新しい手法を試すことが、困難な状況にある事業を救う第一歩になるかもしれません。
