価格競争から脱却し、独自の強みで選ばれるビジネスへと転換するためにすべきことを考える③

価格設定についても、思考するだけでなく、具体的な数字を書き出すことから始まるため、「相場」や「原価」といった従来の常識に縛られない”適正価格”の考え方について。

菅原健一著「厚利少売」(匠書房)を読んで。

目次

まず決めるべきは、「売上」ではなく「目標にしたい年間利益」

まず最初にすべきことは、自分(自社)にとっての「目標」や「必要」は何かを明確にし、それを数字に落とし込むことであると考えられます。

「目標」を具体化し、書き出す

「目標」という言葉は曖昧になりがちです。

”なんとなく”ではなく、自身が理想とするライフスタイルや、事業を健全に継続させるために本当に必要な金額を具体的に書き出してみるとよいと考えられます。

  • 生活コスト:家賃(住みたい場所)、食費(外食の頻度)、光熱費など
  • 心の豊かさ:趣味、旅行、ファッション、交際費など
  • 将来への積立:設備投資積立、教育費、貯蓄、つみたてNISAなどの資産運用

これらを積み上げた金額が、目指すべき「目標」となります。

目標を立てることの重要さは科学的に立証されているともいわれ、目標を立てるという行為そのものが、前進の第一歩となります。

リアリティある目標を設定する

重要なのは、目標として、「売上」ではなく「利益」で設定することであると考えられます。

どれだけ売上が大きくとも、コストがかさんで利益が残らなければ、ビジネスは疲弊してしまいますし、ちょっとしたトラブルで立ち行かなくなってしまいます。

かといって、いきなり年商100億円や年収1億円といった、非現実的な数字を掲げる必要もなく、現在の生活の延長線上として、”積立100万円+生活費500万円ならイメージが湧く”といったように、リアリティ(現実感)を持てる数字を設定することが重要であると考えられます。

値付けの3つの間違いとその共通点

目標利益が決まったら、次に、その利益を達成するための価格設定を行いますが、多くの事業者が陥りがちな”3つの間違い”があります。

値付けの3つの間違い

「原価」から逆算する

「原価がこれくらいだから、利益を乗せていくら」という積み上げ式の考え方は捨てます。
価格は原価ではなく、「提供する価値(相手の変化量)の大きさ」で決まるべきであり、例えば、「楽しさ・サプライズ・感動体験」などといった要素も加味すべきということになります。

同業他社よりも安くする

競合に合わせて価格を下げるのは典型的な薄利多売思考であり、独自の本質価値を提供できているのであればそもそも他社比較は不要です。
他社の価格が気になるのであれば、”独自性”が不足しているサインかもしれません。

ネガティブな要因でしか値上げしない

”原材料が高騰したから”という理由ではなく、「サービスの質が高まった」「より深い価値を提供できるようになった」「需要が増えて対応しきれない」というポジティブな理由で価格を上げるべきであると考えられます。

”3つの間違い”の共通点

これらの共通するのは、「価値とは、相手の変化量である」という視点です。

本質的な価値を見極め、その提供によって相手に「変化(利益や感動)」をもたらすことができているのであれば、下記のような物理的な原価や競合他社の価格や業界の慣習といったものに縛られる必要はなく、”自社が提供する変化の大きさ”であるべきということになります。

分解して考える

目標は、「単価× 数量」で決まります。

数量を増やせるイメージが持てないとしたら、単価を上げることを考えます。

例えば、月間利益30万円を目指す場合。

  • 単価が低い場合
    利益3,000円の商品なら、100人に売らなければなりません。
    毎月100人の新規客を集めるための広告費や労力は膨大です。
  • 単価が高い場合
    利益30万円のサービスなら、たった1人に売れば達成です。

毎月100人集めることは至難の業に見えても、リソース(特に時間)を集中的に投下し、”毎月1人、あなたの価値を深く理解してくれる人を見つける”のであれば、実現できそうな気すらします。

単価を上げることで、必要な販売数が絞られ、現実的な勝機が見えてきます。

高いと言われたら

価格を上げようと決意したとき、誰もが”高いと言われないか”・”誰も買ってくれないのではないか”と思ってしまうものです。

”高い”と言われたら

「高い」という言葉は、相手が真剣に検討しているサインともいえます。

興味がないものに対しては、そもそも”高い”とすら言わず、去っていくためです。

そして、高いと思う思考は、「コスト」と考えていることから来ています。

その認識を覆し、「コスト」ではなく、「利益をもたらす投資」であると説明し、認識してもらうことが重要です。

成果にコミットする「覚悟」を示す

  1. 価格への自信
    値引きせず、堂々と価格を伝えます。「この価格だからこそ、この価値を提供できる」ときちんと伝える。
  2. 成果へのコミット
    「頂いた対価以上の『利益(成果)』を出すことに全力でコミットする」と伝える。
  3. 逆提案の勇気
    「もし金額以上のリターンがイメージできなさそうであれば見送られた方が良い」と、断る選択肢をきちんと提示する。

値引きが「目的」を損なうことを論理的に伝える

「値引き=質の低下=成果が出ない」という図式を論理的に説明し、相手の意識を「コスト削減思考」から「利益最大化思考」へ切り替える必要があります。

  • 目的の再確認
    相手の目的が、”安く済ませること”なのか、”事業の売上や利益を伸ばすこと”なのかを改めて考えてもらう。
  • リソースの重要性
    利益を削ると最良なコスト投下や十分な時間の確保ができなくなることを説明する。
  • 安物買いの警告
    安く発注できても、結果が出なければ”安物買いの銭失い”になるという本末転倒リスクをきちんと伝える。
  • 「コスト」から「利益を出す投資」へ
    提示価格は、成果を出すために必要なリソース確保のための「投資」であるということを理解してもらう。

実は「シン富裕層」も増えている

既存の顧客層だけに固執せず、視野を広げれば、あなたの価値を正当に評価し、対価を支払ってくれる顧客は必ず存在します。

”今の顧客には売れない”と諦めるのではなく、「この価格で買ってくれる顧客はどこにいるか?」と戦うフィールドを変える発想を持ちましょう。

価格は「覚悟」の表明である

値付けとは、単なる数字の設定ではありません。

それは、「いただいた対価以上の価値(変化)を絶対に提供する」という、覚悟の表明です。

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この記事を書いた人

長崎で活動する
税理士、キャッシュフローコーチ

酒井寛志税理士事務所/税理士
㈱アンジェラス通り会計事務所/代表取締役

Gemini・ChatGPT・Claudeなど
×GoogleWorkspace×クラウド会計ソフトfreeeの活用法を研究する一方、
税務・資金繰り・マーケティングから
ガジェット・おすすめイベントまで、
税理士の視点で幅広く情報発信中

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