専門的な文書を扱う人にとって、情報を「読む」ことのみならず、「構造化して理解し、正しさを検証したうえで、分かりやすく伝えたり教えたりすることができるかどうか」が鍵になると考えられます。
今回のアップデートにより、NotebookLMは、マインドマップという新たな武器を追加してきました。
使ってみたところ、その構造化の正確さとスピードと使いやすさが想像以上、、
「NotebookLM」の概要と今回のアップデート
NotebookLMとは
「NotebookLM」は、Googleが提供するAIノートツールで、自身がアップデートしたドキュメント・PDF・ウェブページ・Youtubeなど多様な情報ツールから、自在に整理・分析・要約・生成を行うことができ、大量の情報を効率的に処理し、理解を深めることが可能です。
他の生成AIツールはどうしてもハルシネーションをゼロにすることが難しいのが現状で、専門性の高い分野の場合、ハルシネーションが生じやすく、かつ、ファクトチェックがしづらい、一方で、間違えることが許されない、という面もあり、まだ”突破口”や”たたき台”程度にしか使えない部分がありますが、NotebookLMについては、参照元をすぐに参照することができ、また、”分からないことは分からない”と誠実に伝えてくれるため、情報の正確性や裏取りを重視する専門職にはとてもフィットするツールだと感じます。
- PDF、テキストファイル、Googleドキュメント、Youtubeなど様々な形式の情報から、ユーザーが指定したもののみをセレクトし、アップロードできる
- AIによって分析され、主要なテーマ、概念、関係性が抽出され、要約、アウトライン、FAQなどを生成できる
- 対話形式で情報を検索していくことができる

2025年3月19日アップデート(マインドマップ機能追加)
2025年3月19日のアップデートにより、「マインドマップ機能」が追加されました。
ユーザーがアップロードした資料の内容や概念の関連性を分析し、枝分かれした図として視覚化してくれます。
これにより、数多くの情報源から、重要な概念とそれらの関連性を素早く特定することができるようになりました。
枝分かれしていく部分をどんどん深堀りをしていくことができ、最終的には、原文とその解釈を明示してくれます。
このマインドマップ機能は、複雑な情報を構造化し、それぞれを深堀りして理解していく際に、とても役立ちます。
使ってみた
例えば、今回、国税庁のパンフレット「源泉徴収のあらまし」のうち、「報酬・料金等の源泉徴収事務」で使ってみました。

「ノートブックを新規作成」をクリック。

ソースを追加していきます。
Googleドライブ内のドキュメントやスライド、ウェブサイト、Youtube、テキストなど、実に多様なソースをアップロードすることができます。

左端で、ソースの確認および追加をすることができます。
中央で、チャットして深堀りすることができます。
右端で、音声生成(現在は英語のみ)、メモ、マインドマップを生成することができます。

ブックのトップ画面の「マインドマップ」をクリックすることで、マインドマップが生成され、右端にて結果を確認することができます。
マインドマップにより、構造化された文章の全体の構成が一目でわかるようになります。
複数のソースを追加しても、NotebookLMはうまくまとめ上げ(マージ)てくれます。

右にある「>」をクリックしていくことで、知りたい項目内の情報を深堀りしていくことができます。
NotebookLMは「載っていないことには答えない」という姿勢が明確で、無理に補完せず、元資料ベースで回答してくれる点が非常に信頼できます。
作成されたマインドマップ例がこちら。

マインドマップ機能がいかに使いやすいか、百聞は一見にしかず!ということで、動画にしてみました。
専門職×NotebookLM
NotebookLMの強みは、単なる要約にとどまらず、「構造で捉える→深掘りする→原文にあたる」という一連の流れを、一気通貫に超スピーディに超効率的に行うことができるという点にあります。
構造化のセンスもかなり優秀です。
これは、情報を扱う専門職にとって、大きな意味を持ちます。
さらに感じるのは、「分からないことを分からないと言ってくれる安心感」です。
情報をいい加減に補完してくれるのではなく、正確な形で思考をしっかりとサポートしてくれるという点においてとても優秀です。
もちろん、他のAIツール(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)にも大きな強みや特徴はあり、併用したり使い分けたりしていくことで、よりよいアウトプットにしていくことも可能です。
もちろん、人間の頭で試行錯誤して探し出したり読み下したりすることもまた、トレーニングのためには必要なことでもあります。
いわば、NotebookLMは、移動手段としての”車”であり、その圧倒的なベネフィットについては、利用しないわけにはいかないと感じます。
一方で、”車”があったとしても、自分自身の身体のトレーニングのためにウォーキングしたりジョギングしたりすることもまた必要なことです。
要するに、”どんなときに車で移動すべきか・どんなときに走ったり歩いたりすべきか”を使い分けていく思考”が必要と考えます。