なぜあの店は儲かるのか?売上を「日商・客数・客単価」に落とし込んで考える、お店経営の作戦会議

安定して利益を上げているお店の多くは、売上を「日商」、さらには「客数」と「客単価」まで細かく分解して分析しています。この考え方を身につけることで、お店が抱える課題が明確になり、売上アップに向けた具体的な次の一手が見えてきます。

水野剛志著「飲食店経営で成功するための「お金」のことがわかる本」(日本実業出版社)を読んで考えたこと。

目次

なぜ「月商」だけでなく「日商」で見るべきなのか?

多くの経営者が「今月の売上(月商)」を重要な指標としていますが、実はそれだけでは十分な分析はできません。
なぜなら、月によって営業日数が異なるため、単純に月商だけを比較しても、お店の実力を正確に測ることが難しいためです。

例えば、営業日数が25日の月と22日の月では、同じ売上でも1日あたりのパフォーマンスは大きく異なります。

そこで重要になるのが、”1日の平均売上である「平均日商」”にまで落とし込んで考えることです。

日商で考える3つのメリット

  1. 日々の業績判断が可能になる
    毎日の売上目標が明確になり、その日の営業が目標に対してどうだったかをすぐに振り返ることができます。
  2. 目標設定の具体性が高まる
    「月商300万円」という目標よりも、「日商10万円」という目標のほうが、日々のオペレーションと直結し、スタッフ全員がイメージしやすくなります。
  3. 正確な売上比較ができる
    月ごとの平均日商を比較することで、営業日数の違いや定休日の増減に左右されず、お店の本当の調子を把握できます。

まずは、以下の計算式で自店の「平均日商」を把握することから始めましょう。

平均日商 = 月の売上(月商) ​/ 営業日数

この「平均日商」を基準に、日々の目標を設定し、達成するための戦略を考えていくことが、売上アップへの第一歩となります。

さらに鍵は、「客数」と「客単価」への分解にある

日商を把握したら、次はその中身をさらに細かく分解していきます。日商は、以下の要素で構成されています。

日商 = 客数 × 客単価

売上が伸び悩んでいる時、「客数が足りないのか?」「客単価が低いのか?」、あるいはその両方なのか。

このように売上を「客数」と「客単価」に分解することで、自店が抱える本当の課題がどこにあるのかを突き止めることができます。

例えば、2つの飲食店のケースを考えてみましょう。

店舗平均日商客数客単価
A店100,000円100人1,000円
B店100,000円50人2,000円

A店とB店は、同じ日商10万円ですが、その中身は全く異なります。

  • A店が売上を伸ばすには?
    客単価は比較的低いものの、多くのお客様が来店しています。
    まずは「もう一品」を勧める接客(クロスセル)や、少し高価格帯のメニュー(アップセル)を充実させて客単価を上げる施策が有効かもしれません。
  • B店が売上を伸ばすには?
    客単価は高いですが、客数が伸び悩んでいます。
    新規顧客を獲得するための情報発信や、リピーターを増やすためのキャンペーンなど、客数を増やす施策が有効かもしれません。

このように、日商を構成する2つの要素のどちらに課題があるのかを見極めることで、打つべき施策が明確になります。

売上を伸ばすための具体的なアクションプラン

これまでの分析で自店の課題が見えたら、次はいよいよ具体的なアクションプランを立てて実行するフェーズになります。

「客数」と「客単価」、それぞれ向上させるための具体的な施策にはどのようなものがあるか。
これらは、お店のメニュー作りやスタッフの人数といった店舗運営の改善に直結していくことになります。

「客数」を増やすためのアクションプラン

ターゲット施策の例
新規顧客SNS活用: InstagramやXで魅力的な料理写真や店内の雰囲気を発信する。
Web広告・MEO対策: Googleマップなどの地図アプリで上位表示されるよう情報を最適化する。
ランチ限定メニュー: まずはお店の味を知ってもらうための、お得なランチメニューを開発する。
リピート顧客ポイントカード・アプリ導入: 再来店するほどお得になる仕組みを作る。
顧客とのコミュニケーション: 会計時に「またお越しください」と一言添えるなど、記憶に残る接客を心がける。
限定クーポンの配布: 次回来店時に使えるクーポンや、誕生日特典などを用意する。

「客単価」を上げるためのアクションプラン

アプローチ施策の例
メニューの工夫松竹梅の価格設定: 3段階の価格帯のメニューを用意し、中間の価格帯に誘導する。
セットメニューの充実: ドリンクやデザートをセットにすることで、注文点数を自然に増やす。
高付加価値メニュー: こだわりの食材を使った少し高価なメニューを用意する。
接客・店舗運営おすすめ上手になる: スタッフが自信を持って「本日のイチオシです」と商品を提案する。
追加注文の促進: 食事の終盤に「デザートはいかがですか?」と声かけをする。
回転率の向上: スタッフの配置を最適化し、案内・注文・配膳・片付けがスムーズに行える体制を整え、機会損失を防ぐ。

結論

飲食店の売上を伸ばすためには、月商という大きな数字に一喜一憂するのではなく、「日商」ひいては「客数」と「客単価」にまで細かく分解し、日々の数値を追い続けることです。

分解して初めて、自店の本当の強みと弱みが見えてきます。

この「実行と検証のサイクル」を回し続けることが、長く愛される繁盛店を作り上げるための最も確実な道筋であるといえます。

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