【創業融資】不安を自信に変える!審査を通過するための5つのQ&A

これから事業を始めようとするとき、多くの方が直面するのが「資金調達」の壁。特に、日本政策金融公庫などの創業融資は、事業の成功を左右する重要なステップですが、”自己資金はいくら必要?”、”どんな準備をすればいいの?”といった不安や疑問が尽きないものです。

水野剛志著「飲食店経営で成功するための「お金」のことがわかる本」(日本実業出版社)を参考として。

目次

創業融資の5つのQ&A

融資はいくらまで受けられるのか?

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、申し込みの要件として、開業資金の10分の1の自己資金が設定されています。これによれば、制度上は自己資金の9倍まで融資を受けられる計算になります。

ただ、これはあくまで上限であり、実際に9倍の融資を受けられるケースは稀です。

借りることができたとしても、借入額が大きすぎる場合、毎月の返済負担が重くなり、結果として、資金繰りを圧迫してしまいます。

実際には、「開業資金の3分の1の自己資金を有しているか」が判断ポイントとされていることが多く、安定した事業運営のためにも、開業資金の3分の1以上を自己資金で準備しておくのが理想と言えます。

どこまで自己資金として見てもらえるのか?

自己資金とは「自分で用意した、返済義務のないお金」のことを指します。

融資審査においては、金額そのものよりも”そのお金をどのようにして貯めてきたか”という「履歴」が最も重視されます。

審査では直近半年ほどの通帳がチェックされるため、計画的に資金を準備してきたことを証明することが大切です。

  • 認められるもの
    • 毎月の給与から計画的に貯めた預金
    • 開業のためにすでに支払った設備購入費など(領収書等があれば自己資金と認められます)
    • 親族からの贈与(返済義務がないことを証明するため「贈与契約書」の作成が推奨されます)
  • 認められないもの
    • タンス預金(来歴が確認できない資金は自己資金として見られにくい)
    • 一時的に他人から借りてきたお金(いわゆる”見せ金”は見破られます)
    • 返済義務のある親族からの借入

融資申請前に物件の賃貸借契約を結んでおく必要はあるのか?

融資の申し込み時点で賃貸借契約を結んでいる必要はないと考えられます。

良い物件を見つけるとすぐに契約したくなるものですが、もし融資審査が通らなかった場合、計画そのものが頓挫する可能性もあり、支払った保証金や礼金などが戻って来ず、大きな損失となってしまいます。

融資を申し込む際は、不動産会社が出している物件の広告など、住所や契約条件がわかる資料を提出すれば問題ないと考えられます。

物件オーナーから内諾を得たタイミングで融資を申し込み、審査結果が出てから契約金を支払うという手順が最も安全であると考えられます。

開業時に会社を設立しておくべき?

”自分の事業を始めるぞ!”と決意したときに悩むのが、「個人事業主」と「法人(会社設立)」のどちらでスタートすべきか、という問題かもしれません。

それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが正解ということはないものの、どちらにすべきか迷っている場合には、まず「個人事業主」としてスタートほうが無難であると考えられます。

最大の理由は、事業立ち上げ期の負担を少しでも軽くするためです。

法人化の大きなデメリットとして、以下が挙げられます。

  • 社会保険の加入義務と負担
    法人の場合、たとえ社長が1人だけの会社であっても、健康保険や厚生年金といった社会保険への加入が法律で義務付けられています。
    この社会保険料は、たとえ事業が赤字でも毎月必ず支払わなければならない固定費となり、まだ売上が安定しない創業期の経営にとって大きな負担となります。
  • 設立時のコストと手間
    個人事業主は、税務署に開業届を出すだけで費用もかからずスタートできます。
    一方、法人を設立するには、定款の認証や登記手続きなどで約20〜30万円前後の設立費用がかかります。

まずは負担の少ない個人事業主として事業をスモールスタートさせ、事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化を検討する、というのが最も着実なステップと言えます。

一方で、法人でなければならない、または、法人の方が有利なケースも存在します。

例えば、以下のような場合は、最初から法人設立を検討する価値があります。

  • 高額な融資を受けたい場合
    開業資金が3,000万円を超えるような大規模な事業の場合、個人事業主よりも法人の方が社会的信用度が高く、高額な融資を受けやすい傾向にあります。
  • 許認可が必要な事業
    事業内容によっては、法人格でなければ行政からの許認可が得られない場合があります。
  • 最初から大きな取引が見込まれる場合
    取引先によっては、法人でなければ契約を結ばないというケースもあります。

融資が受けられなかった場合、再申請できるのか?

融資が否決された場合でも、問題点を修正すれば再申請は可能です。

しかしながら、一度否決された記録は金融機関内に残り、すぐに再申請したとしても前向きに審査してもらうのは難しいのが実情です。

半年から1年ほど時間を空けなければ、申し込み自体を受け付けてもらえないケースもあります。

審査に落ちる理由は様々ですが、特に自己資金や事業経験の不足、個人の信用情報などの問題の場合、すぐに解決することが困難です。

創業融資は”一発勝負”と捉え、万全の準備で臨むことが重要であると考えられます。

【融資申請前に】あなたの準備は万全?融資可能性チェックリスト

  1. 過去10年以内に破産などの債務整理をしたことがないかどうか
    新規開業の融資では、過去の債務整理は審査に大きく影響してしまいます。
  2. 過去5年以内に、借入やクレジットカード等の支払を3ヶ月以上延滞したことがないかどうか
    金融機関は、申込者の金銭感覚を計る尺度として過去の支払状況を気にします。
  3. 直近2年程度、消費者金融の利用がないかどうか
    消費者金融の利用状況は、審査で確認されるポイントです。
  4. 自分でコツコツ貯めたお金が100万円以上ある
    見せ金ではなく、自分で貯めたという”自己資金の質”が非常に重要視されます。
  5. 自己資金が開業資金総額の3分の1以上ある
    安定した開業を目指すなら、開業資金の3分の1以上の自己資金を用意することが理想です。
  6. 開業する事業の分野での事業経験や正社員としての勤務経験が1年以上ある
    金融機関は、代表者のこれまでの経験や経歴を、事業の実現可能性を判断する材料として審査します。
  7. ”事業を必ず成功させる”という強い気持ちがある
    開業準備からオープン後の営業まで、生半可な気持ちでは事業を成功させることはできません。

万全の準備で、目標への確実な一歩を

開業はゴールではなく、ご自身の思い描いた事業を軌道に乗せていくためのスタートラインであるといえます。

その大切なスタートでつまずかないために、以下の点を押さえたいところです。

  • 自己資金は「金額」より「履歴(来歴)」を重視し、計画的に準備する。
  • 現実的で説得力のある事業計画を練り上げる。
  • 創業融資は「一発勝負」。すべての準備を万全に整えてから申し込む。

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