社内の個々人に眠る優れたプロンプト。それをチームの共有資産にできれば、会社全体のAI活用レベルは飛躍的に向上するはず。当社が実践している、Googleツールの連携だけで実現する「プロンプトシェアの仕組み」について。
プロンプトをシェアする~チームのAI活用を加速させる3つのメリット~
生成AIの活用は、業務を効率化し創造性を高めるための”チーム全体のベクトル”になりつつあります。
生成AIの活用においては、「プロンプト」は重要で、優れたプロンプトを共有することで、チーム全体のAI活用レベルを底上げし、新たな可能性の扉を開く鍵となると考えています。
具体的には、以下のような素晴らしいメリットが生まれます。
- AI活用のハードルが劇的に下がる
”生成AIにどう聞けばいいかわからない”という悩みは、多くの人が抱える最初の壁です。
チーム内に「お手本プロンプト」があれば、生成AIに不慣れなメンバーでもそれを真似ることから気軽にAIを試し、その絶大な効果をすぐに実感できます。
成功体験を積み重ねることでAIへの苦手意識はなくなり、誰もが積極的にAIを活用する文化が育ちます。 - チーム全体の品質と生産性が向上する
みんなが使うプロンプトを誰もが利用できるようになることで、チームが生み出すアウトプットの品質は標準化され、大きく底上げされます。
これまで一部の人にしかできなかった高度な作業も、チームの誰もが短時間でこなせるようになり、チーム全体の生産性は飛躍的に向上すると考えられます。 - 改善の好循環が生まれる
共有されたプロンプトを起点に、「もっとこうしたら良くなるかも」「私の業務ならこんな使い方もできそうだ」といった発想や新しい活用アイデアがチームのメンバーから自然と生まれるようになります。
チーム全員の知恵を結集してプロンプトを育てていく「共創」の文化は、他のチームにはない独自の強みとなります。
5ステップで完成!プロンプト共有ワークフロー構築術
それでは、具体的なワークフローを5つのステップで解説します。このワークフローの中心となるのが、GoogleのAIツールです。
プロンプトに関する情報やアイデアを集める仕組みを作ります。
スマホであれば、手軽さが魅力の「GoogleKeep」が活躍します。
PCであれば、「Googleドキュメント」も選択肢に入ってきます。

Googleドキュメントに集約します。
GoogleKeepからであれば、メモ下部の3点リーダーに、「Googleドキュメントにコピー」というメニューがあり、簡単にGoogleドキュメントに変換できます。

NotebookLMまたはGemをデータベースとし、そこにGoogleドキュメントをソースまたは知識として追加し、データベース完成です。
パターンA:NotebookLM
- NotebookLMを開き、新しいノートブックを作成
- 「ソース」欄から「Google ドライブ→Googleドキュメント」を選択し、追加

パターンB:Gem
- GeminiでGemを作成
- 「カスタム指示」で役割(例:プロンプトの専門家)などの条件を設定
- 「知識」にある「ドライブから追加→Googleドキュメント(スプレッドシートも活用可)」を追加

ツール比較
| 特徴 | NotebookLM | Gem |
|---|---|---|
| 強み | ・回答の根拠がソース内に明示される ・ソースガイドやマインドマップで全体像を把握しやすい | ・役割など使い道などを細かく設定できる ・Googleドキュメントの更新は自動同期 ・Googleスプレッドシートでも運用可 |
| 弱み | ・Googleドキュメントの更新は手動同期 | ・外部の情報(LLM、Web等)も入ってくる |
| 最適な使い方 | ・全体感を掴みながら、ソースに忠実な使い方をしたい場合 | ・できるだけ同期の手間を省きつつ、外部の情報(LLM、Web等)も活用しながら活用したい場合 |
- NotebookLMの場合:画面下部のチャット欄に質問、あるいはマインドマップなどを活用
- Gemの場合:作成したGemを呼び出し、チャットで質問
この仕組みを陳腐化させないための無理のないメンテナンス方法が重要になります。
- NotebookLMの場合::ソース画面で「Googleドキュメント」を選択、「クリックしてGoogle ドライブと同期」をクリック
- カスタムGemの場合: GoogleDrive内のGoogleドキュメントを設定してあれば、常に自動更新される


仕組み作りから文化の醸成へ
重要なのは、仕組みを導入して満足するのではなく、それを活用する”文化”をチームに根付せることだと考えられます。
楽しむ仕掛けでモチベーションを維持する
”文化”は「人」が作ります。
ツールを導入するだけではいずれ形骸化してしまうので、やはり大切なのは、プロンプトの共有や改善を”やらされ仕事”ではなく”チームで楽しむ活動”へと昇華させる意識付けであると考えられます。
そして、”人”にとって必要なのは、リアルにモチベーションを上げてくれる身体性を伴う”セレモニー”かもしれません。
- ユースケース共有会の実施
- プロンプトコンテストの開催
今後の展望:さらなる自動化
現状のワークフローでは、GoogleKeepからGoogleドキュメントへのコピーは手動で行う必要がありますが、近いうちに、GASなどを活用し、特定のラベルが付いたKeepのメモを自動でドキュメントに追記するといった自動化を行っていきたいと思っています。
これにより、プロンプトの収集から資産化までのプロセスがさらにシームレスになり、より多くのアイデアを無理なくライブラリに蓄積できるようになると考えています。
