余計なアドバイスは不要?相手の本当の悩みを引き出す「透明な」聴き方

相手からの相談に対して、良かれと思って自分の経験からアドバイスをしたのに、相手の反応がイマイチだった……そんな経験はありませんか?もしかすると、相手が本当に求めていたのは具体的な解決策ではなく、自身の思考を整理するための「透明な」聴き方だったのかもしれません。相手の言葉を引き出し、一緒に課題の核心へと近づいていくコミュニケーションについて。

和仁達也著「コンサルタントの言語化力」(かんき出版)を参考にして。

目次

アドバイスは逆効果?自分を「透明」にして聴くことの重要性

誰かから悩みを相談されたとき、私たちはつい「自分の場合はこうだった」「こうすればいいよ」と経験則からアドバイスをしてしまいがちです。

反面、相手は”自分の状況とは少し違うな”と心の中で感じている場合もあります。

相手が話しやすい雰囲気を作り、課題の「核心」に近づくためには、まずは自分自身の考えや前提を一旦横に置いて、「透明(=ニュートラル)」になって耳を傾けてみるのがおすすめです。

項目一般的な聴き方透明な聴き方
意識の矢印自分(自分の経験・解決策)に向きがち相手(相手の状況・感情)に向けている
発言の目的アドバイスをして問題を解決してあげる相手が話しやすい環境を作る
相手の反応”わかってもらえない”と心を閉ざしてしまう”わかってくれる”と安心感につながる

相手の思考を整理するサポート役に徹することで、相手も安心して自分の内面を語りやすくなります。

相手の「核心」をとらえるための3つのステップ

相手の本当の悩みにたどり着き、思考を整理するためには、具体的にどのようにコミュニケーションをとればよいのか。

日常的に行っている会話をほんの少し意識するだけで、相手の反応は大きく変わります。

ステップ1:”透明”になって「聴く」

まずは、自分の意見やアドバイスしたい気持ちを抑え、自分を「透明(=ニュートラル)」にして相手の話に耳を傾けます。

ここで、ただ黙って聞いているだけでは相手も話しづらくなってしまいます。

「あいづちを打つ」「質問する」にとことんこだわり、”私はあなたの話を聞いていますよ”・”味方ですよ”という姿勢を示すことで、相手への敬意を示します。

ステップ2:話を「整理」する

相手の話を聴きながら、その内容を頭の中で整理していきます。

悩みを打ち明けるとき、人の頭の中はさまざまな感情や事実が絡み合っていることが多いものです。

相手が置かれている状況、そこで感じていることをとことん整理していくことに集中し、「今はこういう状況なんですね」と客観的に伝えることで、相手の思考をクリアにします。

ステップ3:相手の思考を「言語化」に導く

話が整理されてきたら、相手自身が自分の考えや感情、本当の思いを言葉にできるように導きます。

いきなり核心を言い当てる必要はありません。

たとえば、忙しくて余裕がないと言う相手に「もし時間ができたら、どんなことをしたいの?」と問いかけてみる。

このように、相手が自分自身の本心(核心)に気づき、自らの口で言語化するプロセスを優しく促すことが重要です。

会議の沈黙を破る「積み石」と「捨て石」・そして「核心」へ

1対1の相談だけでなく、会議やミーティングなどで参加者がなかなか発言してくれない重たい沈黙の場面にも、相手の思考を引き出す「透明なコミュニケーション」の考え方が活かせます。

意見を出しやすくする工夫として、「積み石」と「捨て石」というアプローチをご紹介します。

  • 積み石(発言の最初の土台)
    完璧なアイデアでなくてもまずは誰かが最初の発言(石)を置く。それに対して周りが少しずつ意見を足していけるようになることで、石が積み重なっていくように良いアイデアへと成長していきます。
  • 捨て石(意見の呼び水)
    最初の意見がもし的外れだったとしても決してムダにはなりません。”それは少し違うな”と感じた人が別の案を出すきっかけになるため、あえてボツになるかもしれない意見を出すことも、立派な貢献(捨て石)になります。

”どんな意見でもムダにはならない(石にムダなものはない)”という共通認識を持てると、心理的なハードルが下がり、活発な意見交換が生まれやすくなります。

核心を捉えることで生まれる好循環

「積み石」「捨て石」で話しやすい場を作り、相手の話を透明な姿勢で聴きながら言語化を促していくと、やがて表面的な悩みや意見の奥にある、”本当の課題の「核心」”が見えてきます。

相手の核心をたった一言で言い表せるようになると、「この人は自分を理解してくれている」という深い信頼関係に結びつきやすくなります。

人間関係が良好になると精神的な安定につながり、結果的に仕事もうまくいくという、ポジティブなスパイラルが回り始めるきっかけになるかもしれません。

コミュニケーションにおいて大切なのは、必ずしも「上手に話すこと」や「的確なアドバイスをすること」だけとは限りません。

まずは自分を透明にして相手の声を聴き、「積み石」や「捨て石」も活用しながら相手自身の口から「本当の想い(核心)」を言葉にできるようサポートする。

それこそが、お互いにとって心地よい人間関係を築くための、ひとつの鍵であるといえます。

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この記事を書いた人

長崎で活動する
税理士、キャッシュフローコーチ

酒井寛志税理士事務所/税理士
㈱アンジェラス通り会計事務所/代表取締役

Gemini・ChatGPT・Claudeなど
×GoogleWorkspace×クラウド会計ソフトfreeeの活用法を研究する一方、
税務・資金繰り・マーケティングから
ガジェット・おすすめイベントまで、
税理士の視点で幅広く情報発信中

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