チョコレートの業界において着目されているキーワード、「Bean to Bar」とは何か。
株式会社明治チョコレート検定委員会監修「チョコレート検定 公式テキスト 2024年版」(Gakken)を参考にして。
Bean to Bar
「Bean to Bar」とは、製造者が、カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)まで一貫して手掛けるスタイルのことをいいます。
セレクトしたカカオ豆をローストし、より思うような配合や製法で板チョコレートを作る、つまり、いわば”クラフトチョコレート”のことを指し、ここ数年、日本でも関心が高まっているようです。
外国での動向など
アメリカでは、Bean to Barチョコレートを「Craft Chocolate(クラフトチョコレート)」と呼び、パッケージに「Small Batch(スモールバッチ)」と記載したりと、小規模生産でこだわりがあるものとして、大量生産チョコレートと区別しているようです。
1990年代後半の「シャーフェンバーガー」(サンフランシスコ)を先駆けとし、2000年代には多くのBean to Barの作り手が出てきています。
フランスでは、老舗ショコラトリーである「ボナ」「ベルナシオン」などがより理想的な味を追究し、カカオ豆のローストから手がけるようになっており、ショコラティエ自らがカカオ農園に赴いて豆の検査や選別に関わったり改善活動を行っています。
Bean to Barの進展
最近では、「Pod to Bar」(カカオポッドからカカオ豆を取り出すことから始める)や、「Tree to Bar」(カカオの樹の生産や管理から始める)といった取り組みも生まれているようです。
また、「Bean to Bar」では、シングルビーン(単一産地のカカオ豆から作る)のほか、異なる産地のカカオ豆をブレンドして作るなどの動きもあります。
発酵工程において、発酵させる際の撹拌回数や発酵の日数などに変化を加えることで違いを出したり、
製造工程において、微細化する際にチョコレート粒子をあえて粗めに仕上げて食感を残して違いを出したり、
商品面においても、板チョコレートではなく、ドリンク・ボンボン・ショコラーキなどを作ったり、カカオ豆そのものを食材としてカカオニブを商品化するなどといった動きも出てきているようです。
他にも、一般的なミルクチョコレートはカカオ分30~40%程度であるのに対し、「ダークミルク」というカカオ分50%~60%以上のよりカカオの風味を味わうことのできるビターチョコレートも出てきています。
日本のBean to Bar専門店
- アルチザン・パレ・ド・オール(山梨県北杜市)
- カカオハンターズ(東京都港区)
- カカオ研究所(福岡県飯塚市)
- カカオストア&プリンカフェ448(東京都渋谷区)
- カカオティエゴカン(大阪府大阪市)
- ショコラティエ・パレ・ド・オールブラン(東京都港区)
- チョコロンブス(福岡県北九州市)
- ココ・キョウト(京都府京都市)
- クラフトチョコレートワークス(東京都世田谷区)
- ダンデライオン・チョコレート(東京都台東区)
- ダリケー(京都府京都市)
- G.B.C チョコレートファクトリー(愛媛県四国中央市)
- グリーン・ビーン・トゥ・バー・チョコレート(東京都目黒区)
- ラ・ショコラトリ・ナナイロ(島根県出雲市)
- ミニマル-ビーン・トゥ・バー・チョコレート-(東京都渋谷区)
- ネル・クラフトチョコレート・トーキョー(東京都中央区)
- オキナワカカオ(沖縄県国頭郡)
- サタデイズ・チョコレート(北海道札幌市)
- スイーツ・エスカリエ(新潟県新潟市)
- タイムレスチョコレート(沖縄県北谷町)
- ウシオチョコラトル(広島県尾道市)
- バニラビーンズ(神奈川県横浜市)
- ショコル(東京都世田谷区)