カカオチョコレートの主原料「カカオ」②

チョコレートのことを知るには、主原料「カカオ」のことをよく知る必要がありそうです。

株式会社明治チョコレート検定委員会監修「チョコレート検定 公式テキスト 2024年版」(Gakken)を参考にして。

※イラストは、AIツール(Imagen3)を使用して作成しています。

目次

カカオベルト

「カカオ」の樹は、どこでも栽培できるわけではなく、高温多湿の熱帯でしか生育しません。

具体的には、「赤道をはさんで北緯20度~南緯20度まで」がカカオ栽培適地とされ、「カカオベルト」と呼ばれています。

さらに、生育地域としては、以下の条件が必要とされます。

  • 高度30~300m
  • 年間平均気温約27度
  • 温度差が小さいこと
  • 年間降雨量が最低でも1000mm以上であること

カカオの樹は、これらを満たす特別な地域にしか生育できない繊細な樹木であるといえます。

これらの条件を満たす地域は、「中南米」「西アフリカ」「東南アジア」などの限られて地域で、主力生産地としては具体的には以下とされます。

  • コートジボワール(西アフリカ地域)
  • ガーナ(西アフリカ地域)
  • エクアドル(中南米地域)
  • インドネシア(東南アジア地域)

主力でない国々を含めた世界約50カ国のカカオ豆の年間生産量は約498万トンです。

このうち、コートジボワール・ガーナ・エクアドル・インドネシア、さらにカメルーン・ナイジェリア・ブラジルを加えた主要7カ国で、世界総生産量の約87%を占めています。

地域別には、アフリカが最も多く、次いで中南米、アジア・オセアニアという順とされます。

世界的には生産量ではコートジボアールが最も多いものの、日本はガーナからの輸入が最も多く、輸入量は約4万4042トン(2022年)とされています。

ガーナ産はコートジボワール産に比べて品質の安定性が高く、一方で、エクアドル産・ベネズエラ産は品質の高さに定評があります。

  • 世界の総生産量の約75%は、アフリカで生産されている。
    ※カカオの起源である中南米の生産量は現在では多くない。
  • カカオ豆の生産国は約50カ国あり、主要7カ国(コートジボワール・ガーナ・カメルーン・ナイジェリア/エクアドル・ブラジル/インドネシア)世界生産量の約87%を占めている。

カカオの品種

クリオロ種特徴:”その土地生まれ”という意味。アステカの皇帝モンテスマが飲んでいた発祥の品種。病害に対する抵抗力が非常に弱く栽培が困難。栽培量は0.5%程度の幻のカカオ。
栽培地域:ベネズエラ・メキシコなど
豆:形はふっくら、生豆の胚乳部は乳白色~白色
味:渋味が少なくマイルド
香り:独特なナッティ感、フレーバービーンズとして使われる
フォラステロ種特徴:”他の土地生まれ”という意味。アマゾン川流域が発祥。成長が早く、病気や害虫への抵抗力が強く、栽培しやすい品種。栽培量は80~90%を占めている主力品種。派生種に「ナシオナル種(アリバ種)」がある。
栽培地域:ブラジル、西アフリカ、東南アジアなど
豆:生豆の胚乳部は乳白色
味:渋味と苦味が強い
香り:チョコレート感が強い
トリニタリオ特徴:カリブ海トリニダード島で誕生。クリオロ種とフォラステロ種の自然交配による品種。両者の中間的性質で、栽培しやすく良質。栽培量は10~15%程度。
栽培地域:中南米、ベトナム、マダガスカルなど
豆:比較的大きく、生豆の胚乳部は薄紫色
味・香り:フルーティな酸味を持つものが多い

カカオ豆は、ときとして上記の品種をブレンドして作られます。

  • ベースビーンズ(ベースとなる豆)
  • フレーバービーンズ(風味や香りをプラスするための豆)

一般的には、ベースビーンズとして「フォラステロ種」が使われ、フレーバービーンズとして「クリオロ種」「トリニタリオ種」が使われるとされます。

カカオの産地

カカオは、他の農産物同様、個性が産地によって大きく異なるものとなります。

カカオの産地によるチョコレートの味の違い・特徴については、「テロワール」と表現されることがあります。

※「テロワール」はもともとワイン用語で、その時の気候・地形・地質・土壌などの地域性や風土まで含む意味合いで使われます。

通常、チョコレートは、カカオ豆をブレンドして作られますが、最近では、「シングルビーン」(単一国やエリアのカカオ豆から製造)「シングルオリジン」(なかでも単一国で生産されたカカオ豆から製造)も増えてきているとされます。

4つの産地

日本と関わりの深い(輸入量が多い)産地は、以下です。

ガーナ・カカオ生産量は世界第2位
日本への輸入割合は約75%で日本人が最も慣れ親しんでいるカカオ豆
主にフォラステロ種
・酸味、苦味、渋味がバランスよく混在し、豊かなコクがある
・余韻が残る香ばしさがある
・バランスのあるテイスト
エクアドル・主にフォラステロ種の派生種ナシオナル種
・独特の香りを持つ
・品質が非常に高い
・フレーバービーンズとして用いられることが多い
・フローラルな香りが特徴
・口のなかで広がる華やかさの後に適度が渋みが続く
ベネズエラ・主にクリオロ種
・高品質のクリオロ種を生産している
・雑味が少なく、酸味、渋味、苦味のバランスが取れている
・ほのかにナッティ(ナッツのような)の香り
・濃厚な旨味ともに心地よいロースト香がある
コートジボワール世界生産量の約44%を占めており、世界で最も親しまれている
・マイルドでおとなしい苦味、重量感のある味
・バランスの取れた香りにピーナッツのような香ばしさがある
・香りの起伏がなだらかで口の中に広がっては消える
・ヨーロッパのチョコレートの多くは、ベースビーンズに使っている

その他の産地

マダガスカル(アフリカ)・フルーティな香り
・フルーツと相性がよい
・パティシエやショコラティエの間でよく使われている
ベトナム(アジア)・酸味に加え、フルーティな香りやスパイスの香りを連想させる
ドミニカ共和国(中南米)・ほんのりスパイシーでチョコレートらしい香味で、個性的な品質
ブラジル(中南米)・北東部のものはほどよい酸味、強い苦味と渋味
・北部のパラー州トメアスー産はさわやかな苦味と柑橘の香り
ペルー(中南米)・フローラルな香味を持つものもある
・近年、ペルー産は国際的な品評会で数多く受賞している

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次