カカオ豆と、そこから取れるカカオマスやココアバターのこと。
株式会社明治チョコレート検定委員会監修「チョコレート検定 公式テキスト 2024年版」(Gakken)を参考にして。
※イラストは、AIツール(Imagen3)を使用して作成しています。
カカオからチョコレートになるまで
カカオからチョコレートになるまでの流れを考えるときのキーワードとして、以下が考えられます。
- カカオの樹
- カカオ豆
- カカオニブ(カカオ豆を砕き種皮を取り除いた胚乳部)
- カカオマス(カカオニブをすりつぶしたもの)
※ココアバター(カカオマスに含まれる油脂)
カカオマス
「カカオマス」とは、「カカオ豆」を砕いて種皮を取り除いた胚乳部である「カカオニブ」をすりつぶしたものをいいます。
この後、「カカオマス」に追加のココアバターや砂糖や乳製品などを加えて粉砕し、練り上げていくことで、「チョコレート」になります。
「カカオニブ」には、「ココアバター」が55%前後(50~50%)含まれており、粉砕することでそのバター分からドロドロのペースト状になり、これが「カカオマス」と呼ばれるものです。
カカオマスに、追加ココアバター、砂糖、乳製品などを加えていくことで、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートなどが分類されていくことになります。
分類 | カカオマス | ココアバター | 砂糖 | 乳製品 (粉乳) |
---|---|---|---|---|
ダークチョコレート | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
ミルクチョコレート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ホワイトチョコレート | ✕ | ◯ | ◯ | ◯ |
ココアバター
「ココアバター」とは、「カカオニブ」に含まれる油脂のことをいいます。
このココアバターが、チョコレートになめらかな口どけや香味の中心となるものであるといわれています。
「ココアバター」の融点は33.8℃といわれており、25℃くらいから急速に溶け始め、32~33℃くらいにはほぼ完全に溶けてしまうといわれています。
この低い融点の植物性油脂はココアバターのみであり、独特の性質を持つ油脂といわれています。
また、天然の抗酸化物質を含んでいることから他の油脂に比べて酸化しにくい点も特徴といわれています。
SFC曲線
「SFC(Solid Fat Content)曲線」とは、油脂が温度上昇によって固体から液体へと変化していく曲線のことをいいます。
例えば、SFCの度合いによって、以下のように分類されます。
- SFC=0%:完全な液体
- SFC=50%:液体と固体が半々で混ざった状態
- SFC=100%:完全な液体
ココアバターは、25℃までは80%以上が固体となっていますが、25℃を超えると急速に液体となり、32~33℃では完全に液体となるとされます。
これは、バターのように徐々に溶けていくこととは異なるものと考えられます。
融点が33.8℃(体温よりちょうど低い温度)だからこそ、口の中でなめらかに溶ける感覚を味わうことができるといえます。
ココアバターの6種類の結晶
ココアバターには、6種類の結晶があるといわれており、融点の低い順に、以下とされます。
- Ⅰ型
- Ⅱ型
- Ⅲ型
- Ⅳ型
- Ⅴ型
- Ⅵ型
このうち、チョコレートに適した多形は、以下の観点から、「Ⅴ型」のみといわれており、安定結晶であるといわれています。
- 安定型
- 最適な口どけ
- 収縮率が高い(型からの剥離がよい)
- 艶がよい
チョコレートを作る際には、「Ⅴ型」結晶にする必要があり、それを行う方法が「テンパリング」と呼ばれるものです。