チョコレートの「テンパリング」とは何か

チョコレートを作る際に出てくるキーワード「テンパリング」とは何か。

株式会社明治チョコレート検定委員会監修「チョコレート検定 公式テキスト 2024年版」(Gakken)を参考にして。

※イラストは、AIツール(Imagen3)を使用して作成しています。

目次

テンパリングの概要と必要性

「テンパリング」とは、チョコレートの温度を調節(調温)し、チョコレートに含まれるココアバターを安定的な結晶にする作業をいいます。

安定的な結晶とは、チョコレートの結晶としてⅠ型~Ⅵ型とあるうち、チョコレートに適した安定結晶である「Ⅴ型」のことを指しています。

溶かしたチョコレートを冷やして固める前に行うもので、おいしくなめらかなチョコレートを作るために欠かせない重要な工程といえます。

安定結晶のチョコレート
不安定結晶のチョコレート
  • 型から剥離しやすい
  • スナップ性のある割れ方
  • 艶がある
  • 口どけがよい
  • ブルームが出にくい
  • 型から剥離しにくい
  • スナップ性のない割れ方
  • 艶がない
  • 口どけがよくない
  • ブルームが出やすい

テンパリングの具体的手順

STEP
細かく刻んだチョコレートをボウルに入れ、50~55℃くらいの湯煎で溶かす

静かに混ぜつつ、チョコレートの温度を50~55℃くらいにする。
(すべての結晶を溶かす。)

STEP
チョコレートのボウルを水のボウルに当てて、撹拌しながら27~29℃まで冷やす

(不安定な結晶を生成させる。)

STEP
再び、チョコレートのボウルを湯煎で2~3秒当てる
STEP
すぐに湯煎から外し、撹拌して温度を上げていく作業を繰り返し、31~32℃にする

(温度を上げることで不安定な結晶を融解させ、安定結晶の核を作る。)

STEP
最後に、ヘラなどで少量のチョコレートをすくい試験的に冷やし固める

(核を中心にチョコレート中のココアバター全体を安定結晶にまとめていく。)

STEP
数分間置いて固まれば、テンパリング成功

※不安定結晶が混じっているとチョコレートがきちんと固まらず、ファットブルームの原因にもなる。

STEP
型に流したりすることで、艶とおいしさが揃う

テンパリングのポイント

「冷やす温度」「加熱する温度」を正確かつ均一に撹拌することが重要であると考えられています。

また、正確かつ均一に撹拌するには、以下がポイントであると考えられています。

  • 温度を正確に測定する
  • 湯煎や水につける時間を短くし、急激な温度変化を避ける
  • へらなどで均一となるようかき混ぜる
  • 水分が入らないようにする

チョコレートの材料その他

砂糖

  • 16世紀ヨーロッパでチョコレートに加えられるようになった
  • ミルクチョコレートとダークチョコレートは、砂糖の量はほぼ同じで、違いはカカオマスの量
  • 純度の高いグラニュー糖がよく使われる
  • グラニュー糖は粒が大きくざらつくため、レファイナーというロールで20ミクロン以下まで粉砕する
  • 粉糖(グラニュー糖を細かく砕いたもの)を使うこともある
  • グラニュー糖のほか、上白糖、三温糖も使われることがある

粉乳

  • 牛乳を粉末にした粉乳が使われる
  • 主に全粉乳(牛乳を乾燥)が使われる
    ※脱脂粉乳(脱脂乳を乾燥)はあまり使われない
  • スプレードライ法(原料乳を真空釜で濃縮→水分5%以下になるまで加熱乾燥→熱風を送り込んで濃縮乳を噴霧→乾燥)
  • 1847年、イギリスで「食べるチョコレート」が誕生している
  • 1847年当時は、粉乳が開発されておらず、飲むチョコレートにはミルクが入っていたが、食べるチョコレートにはミルクが入っていなかった
  • 水分の多いミルクはココアバターとなじみが悪く、腐りやすいという事情があった

レシチン

  • レシチンは天然の乳化剤
  • 主に、大豆から取れる大豆レシチンが使われる
  • 水と油が混ざるようにするために使われる
  • 乳化剤の「微粒子の分散機能」が活用されている
    →レシチンが砂糖やカカオマスの微細な粒子をココアバターにうまく分散させる

香料

  • 動植物から抽出する天然香料と、化学的に合成された合成成分とがある
  • フルーツの香料、バニラの香料、花の香料などが使われる
  • 特にバニラはよく使われる
  • 最適な香料の成分がppm単位のバランスで配合されている

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次