AI時代にこそ求められる”体験”と”物語”。選ばれるための「キュレーション力」について考える。

欲しいものがAIやネットですぐに手に入る現代。なぜ今、五感で感じる”体験”や背景にある”物語”が求められるのか。便利さの裏で見直されつつある、個人の美意識による「キュレーション(選ぶ力)」と、そこから生まれる「信頼関係」の重要性について。

目次

利便性のその先。”モノ消費”から”物語消費”への転換

ECサイトの普及やAI技術の進化により、家にいながらにしてあらゆる情報を得ることができ、欲しい物を最短翌日などに手に入れるといったことができるようになりました。

ただ、効率化が進めば進むほど、逆説的に価値が高まるものとして、「リアルな体験」と「物語(ストーリー)」があると考えられます。

単に「モノ」を買うだけであれば、価格や配送スピードで比較されるネット通販で十分なわけで、実店舗において消費者が求めるのは、以下のような人間らしい感覚を満たす体験であると考えられます。

  1. 五感で感じる
    空間の雰囲気を味わう、香りを感じる、実際に触れる
  2. プロセスを楽しむ
    作り手の想いや、その商品が選ばれた背景を知る
  3. 自分の意思で選ぶ
    アルゴリズムによる”おすすめ”ではなく、”自分の感性”で発見することの喜び

商品そのもののスペック以上に、”なぜそれを届けるのか”という「物語る力(ナラティブ)」が不可欠であるともいえます。

イノベーションを生む「信頼」と「キュレーション力」

物語を伝える上で鍵となるのは、「キュレーション力」であると考えられます。

ここでいう”キュレーション”とは、単に情報を集めることではなく、「明確な個人の美意識を持って選び抜き、価値を提案すること」を指します。

キュレーターとテナント、そしてお客様との間にある強固な人間的な信頼関係がベースとなり、そこに強い価値が発生するというものです。

一個人が確固たる自分の美意識を持ってテナントをセレクトし、テナントもその一個人としての主催者を人間的に信頼しているからこそ、単なる”場所貸し”ではない「一体感ある空間」が生まれることになります。

信頼関係があればこそ、値引きに頼らずともお客様が集まり、さらにテナント同士のコラボレーションや限定商品であったりといった、付加価値やイノベーションを生み出す源泉となります。

特徴従来の集客イベント”信頼とキュレーション”によるイベント
主な訴求価格の安さ
品揃えの多さ
世界観
ストーリー
限定性
関係性ビジネスライク
(売上重視)
パートナーシップ
(価値創造重視)
顧客の心理「安ければ買う」「この人が勧めるから買う」
結果消耗戦になりやすい新しい価値が生まれる

このように、お互いが大切に思い合う”人間的な信頼関係”から生まれる熱量は、AIには真似できない”付加価値”となります。

「共感」をデザインする

重要なのは、その場が「共感と体験の場」になっているかどうかであると考えられます。

巨大なプラットフォームでは「効率」が優先されます。

一方で、リアルな場では「心地よさ」が優先されます。


今現在において最も強いコンテンツとは、データに基づいた最適解ではなく、「人の想いが乗った物語」であると考えられます。

一個人の美意識に共感し、信頼できる人たちが集う場所には、ネットでは得られない高揚感(ワクワク)が生まれます。

これからのビジネスやイベントの運営においては、規模の拡大を追うことよりも、「信頼の密度」を高め、共感でつながるコミュニティを丁寧に育てていく姿勢こそが、長く愛される秘訣といえるのかもしれません。

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この記事を書いた人

長崎で活動する
税理士、キャッシュフローコーチ

酒井寛志税理士事務所/税理士
㈱アンジェラス通り会計事務所/代表取締役

Gemini・ChatGPT・Claudeなど
×GoogleWorkspace×クラウド会計ソフトfreeeの活用法を研究する一方、
税務・資金繰り・マーケティングから
ガジェット・おすすめイベントまで、
税理士の視点で幅広く情報発信中

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