【体験記】「AI実装検定B級」受けてみた

「AI実装検定B級」に挑戦し、無事に合格することができました。
この試験は、AIをビジネスに実装するための実践的な知識が問われるもので、なかなか数学的な要素が多く、数学が苦手なので苦戦しました。

目次

「AI実装検定B級」とは?

「AI実装検定」とは、AI実装検定実行委員会が実施するAIに関する資格試験です。

レベル別に3種類あり、「S級」「AI級」「B級」があります。難易度は「S級」>「A級」>「B級」とされています。

「AI実装検定B級」については、”超入門”という位置付けで、AIの概要についての直感的理解を7つの側面から問うものであるとされています。

項目内容
主催団体AI実装検定実行委員会(AIEO)
試験目的ディープラーニングに関する実装能力と知識の判別を目的に行うもの。
「B級」「A級」「S級」の3つの認定レベルあり。
AI難関資格のGやE資格の実装レベルを意識した設定とされている。
合格者には「ディープラーニング実装師」の称号が付与される。
開催形式テストセンターでの実施(CBT方式、テストセンターにて受験)
試験時間40分
出題形式択一式・30問
出題範囲1.学習と推論
2.データとタスク
3.パターン認識
4.歴史
5.読み書き表現
6.計算と整理
7.開発と運用
受験資格制限なし
受験費用一般:9,900円(税込) / 学割:5,500円(税込)
合格率得点率70%以上(合格率は公式非公表)

シラバスと試験の特徴(私見)

学習と推論学習モデルと推論モデルの概念的理解
(例題;パラメータの概念的理解)
データとタスク構造化データと非構造化データ(画像・音声データ)
(例題;分類と回帰の概念的理解)
パターン認識評価指標(汎化性能、パラメータの更新)
世界モデルの概念的理解
歴史ILSVRCなどのAIコンピティションで競争されたのは何か
読み書き表現機械学習で頻出するギリシア文字の読み方
行列・確率統計・微分がAIの記述に必要な理由
プログラミング言語がAIの記述に必要な理由
数式表現(線形モデルの内積表現、平均と分散)
計算と整理CPUとGPUの計算手法の違い
計算量理論(メモリコスト/時間コスト)
開発と運用学習済みモデルの利用(API利用、転移学習、研究開発)
エッジAI、オンプレミスとクラウドの概念的な違い
  • G検定の内容と重複している部分も多く、G検定の前哨戦として、あるいは、G検定の直後くらいに受けるのがよさそう。
  • 数学に関する基礎的な知識と理解が必要。
  • ごく簡単な計算問題も出題される(暗算や白紙メモで計算できる程度)。
  • 公式テキスト動画にはない項目が数問出題されることから独自の対策も必要で、AI・ディープラーニングに関する知識をある程度本質的な理解ができていないと解けない印象。
  • 選択式問題としては出題形式に関する変化球はなく、どれも”正しいものを1つ選べ”という問題。
  • 30問・40分なので、G検定よりも余裕を持って回答でき、見直しの時間も取ることができる。
  • 当然のことながら税務の知識は何ら通用せず、税理士としてのアドバンテージは皆無。

公式テキストはYoutube動画のみ!合格までの勉強について

公式テキストはYoutube動画(全体で1.5時間程度)のみ。

公式Youtube動画のタイトルは、「中学生から分かるAI入門講座 [AI実装検定®B級]公式テキスト」とありますが、AIやIT業界ではない初学者にはなかなか見慣れない・聞き慣れないものが多く、理解や努力が必要です。

私が実践した試験対策

  • 公式Youtube動画を5回転ほど見ました。
    動画のなかで分からない・理解できていない言葉などが出てきた場合はGemini(家庭教師代わりに)に尋ねたりするなどで理解を深めました。
  • G検定の知識が最強の武器になりました。G検定のシラバスと重なる部分が多くあるため、並行して勉強するのが効果的だと感じました。
  • その他のYoutube解説動画を参考にし、公式テキスト動画にはない項目に関する対策を行いました。

学習時間

8時間ほど

公式テキスト動画にはない項目

公式テキストでは触れられていない項目、上記の動画がとても参考になりました。

具体的には、最低でも以下を抑えておいたほうがよいと思われます。

ストーリーテストとナンバーテスト

  • 新しい事業やアイデアを評価するためのフレームワーク(考え方の枠組み)。
  • AIプロジェクトの企画段階で非常に重要になる。
  • ストーリーテストとは、そのアイデアが顧客や社会にとって魅力的で説得力のある物語(ストーリー)になっているかを検証すること。
  • ナンバーテストとは、そのアイデアが数字(ナンバー)の面で成立するか、収益性や事業性があるかを検証すること。
  • どんなに素晴らしいストーリー(定性的価値)があっても、ビジネスとして成り立たなければ(定量的価値)継続できず、逆に、数字の上では儲かりそうでも顧客を惹きつけるストーリーがなければそもそも商品は売れないことから、この両輪を揃えることが成功の鍵となる

KKD

  • 勘(Kan)、経験(Keiken)、度胸(Dokyo)の頭文字を取ったもの
  • 日本的な組織で使われがちな意思決定の方法
  • データや客観的な根拠に基づかず、個人の勘や過去の成功体験、あるいはその場の勢い(度胸)で物事を判断してしまうことを指す
  • AIやデータサイエンスは、このKKDからの脱却を目指すものとして語られることが多い。
  • 「部長の勘ではA案だが、データ分析の結果によればB案の方が成功確率が30%高い」といったように、AIは客観的な判断材料を提供し、データ駆動型の意思決定を支援する。
  • KKDが全て悪いわけではなく、経験に裏打ちされた直感は重要。ただし、それに客観的なデータを掛け合わせることが、現代のビジネスでは求められている。

DMN (Default Mode Network)

  • 脳科学の用語で、AIそのものの技術ではないが、人間の思考とAIの関係を考える上で興味深い概念として紹介されることがある。
  • 私たちが特に何かに集中しているわけではなく、ぼーっとしている時や、考え事をしている時に活発になる、脳の神経回路のネットワークのこと。
  • DMNが活発な時、脳は過去の記憶を整理したり、未来の計画を立てたり、他人の気持ちを推測したりしている。
  • バラバラな情報が結びつき、「ひらめき」や創造的なアイデアが生まれやすい状態にあると考えられている。
  • シャワーを浴びている時や散歩中に、ふと良いアイデアを思いつくのは、DMNの働きによるものかもしれないといわれている。
  • AIは論理的な処理や大量のデータ分析は得意ですが、「0から1」を生み出す創造的なひらめきは、まだ人間の脳に分がある。
  • 「AIが生成した大量の選択肢(データ)を人間がぼーっと眺めているうちに、DMNが働いて新たな着想を得る」といった、AIと人間の協業の文脈で問われる可能性がある。

DQN (Deep Q-Network)

  • 強化学習というAIの学習方法の一種。
  • AIが「ある状況で、次にどんな行動を取れば、将来もらえるご褒美(報酬)が最大になるか」を学習するための手法。
  • Deep Q-Networkという名前の通り、ディープラーニングとQ学習という2つの技術を組み合わせている。
  • Q学習の課題: 従来のQ学習では、「状態」と「行動」の組み合わせに対する価値(Q値)を一覧表(Qテーブル)にして管理していた。
    しかし、ゲームのように状況(状態)が複雑で無数にある場合、この表が天文学的に大きくなりすぎて管理できなくなるという課題があった。
  • DQNの解決策: そこで、この一覧表を作る代わりにニューラルネットワークを使って「ある状況でこの行動をしたら、どれくらいの価値があるか?」を予測(近似)するようにした。
  • Google DeepMind社が開発し、ブロック崩しなどのビデオゲームで人間を超えるスコアを叩き出したことで一躍有名になった。
  • 自動運転・ロボット制御・株取引の最適化など、幅広い応用が期待されている。

バックキャスト

  • 未来志向の目標設定・計画策定アプローチ。
  • 「Backcast(逆算)」という名前の通り。
  • まず「あるべき未来の姿」を具体的に描き、その未来を実現するために「現在何をすべきか」を逆算して考える方法。
  • 対義語は「フォアキャスト」で、現在のトレンドや過去のデータを基に未来がどうなるかを予測する方法。
  • 現状の延長線上で未来を考えるのがフォアキャスト、理想の未来から逆算するのがバックキャストです。
  • 「AIを使って5年後、業界の常識を覆すようなサービスを立ち上げる!」という理想の未来をまず設定する。
    そこから逆算して、「そのためには3年後までに〇〇の精度を持つAIモデルが必要だ」「そのために来年までに△△のデータを収集しよう」というように、具体的なマイルストーンを置いていく。

感想

無事、合格できました。。

数学が苦手なので試験対策にはかなり苦戦しましたが、AIの基本概念など含め分からないことなどはGeminiに聞きつつ理解を深めました。

選択式は、”正しいものを一つ選べ”のみで、かつ、時間的余裕もあるため、出題形式に振り回される可能性は低いと思います。

公式テキスト動画ではまったく触れられていない問題については、上記のYoutubeで対策できて本当に助かったと思っています。

G検定に通ずるところがあるので、うまく前後に組み立てながら受験していくとよさそうです。

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