銀行では、融資申請する企業の決算書をどのように捉えているか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
損益計算書の表示を工夫する
事実をどのように損益計算書へ落とし込むか・表示するかによって、銀行への印象も代わりますし、表示を工夫することでよい変化が生じるのであれば、ぜひ検討したいところです。
工夫ポイント①
損益計算書での工夫ポイントの原則は、「収益はできるだけ上に、費用はできるだけ下に表示する」というものになります。
「営業外収益」のものを、「売上高」に表示できるか
営業外収益であるよりも、売上高に表示してあるほうが、本業の収益力の高さを示します。
例えば、業務委託収入、手数料収入、不動産賃貸収入などです。
ただし、本業の一環として売上高に表示させるには、事業の目的と一致させている必要があり、定款・登記簿謄本における「目的」に該当するものである必要があります。
「販管費」のものを、「特別損失」に表示できるか
販管費は経常的な費用と捉えられますが、特別損失であればその期限りの費用と捉えてもらえることになります。
例えば、新規出店・店舗閉鎖に伴う損失、特別償却費、不動産取得、退職金などです。
収益と費用の区分を合わせる
一取引に収益と費用とがある場合、その表示カテゴリーを合わせることで、営業利益・経常利益などが適正に表示されることになります。
例えば、社宅賃料収入と社宅支払家賃などです。
経営セーフティ共済掛金を費用処理しない
経営セーフティ共済の掛金を費用処理せず、資産計上(&別表減算)するという選択肢を検討したいところです。
科目名も、「倒産防止共済掛金」など具体的な科目で表示することで、連鎖倒産への備えがあるというこを見せることもできます。