経営計画書を作成する際、どのようなポイントに注意すればよいのか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
経営計画書があるとどうよいのか
融資申請の際、あわせて経営計画書を提出するとよいとされています。
これは、銀行の融資審査のポイント(定量評価、定性評価、実態評価)のうち、主に定量評価に使われる実績を示す資料(決算報告書・試算表)のほか、定性評価面での評価の補強を目的とし、経営計画書は有効であると考えられます。
経営計画書に何を記載すべきか
経営計画書にこれといった書式があるわけではないため、どのように作成するかは考えどころです。
項目
- 経営理念・経営方針
- 外部環境(チャンス・リスク)
- 内部環境(強み・弱み)
- 経営戦略(事業領域)
- 経営課題(PL面・BS面・その他)
- 行動計画(PL面・BS面・その他)
- 損益の実績+見込み
- 資金繰りの実績+見込み
分量
上記の「①経営理念・経営方針」~「⑤経営課題(PL面・BS面・その他)」までで、A4用紙1枚から2枚程度。
「⑥行動計画(PL面・BS面・その他)」でA4用紙1枚程度。
「⑦損益の実績+見込み」A4用紙1枚程度。
「⑧資金繰りの実績+見込み」A4用紙1枚程度。
分厚いものを作成しても、読む銀行側で時間がかかってしまいますし、最小限に押さえて、全体でA4用紙4枚から5枚程度が適切と考えられます。
経営計画書の作成ポイント②
行動計画
- 行動計画あってこその数値計画、という位置づけ(行動の結果としての数字)
- 進捗管理する(計画の見立てを立てて経営しているかどうか)
- 「実行責任者」「スケジュール」「評価指標」を設定する
(誰が、いつまでに、何をするのか) - 進捗会議を設定する
損益の実績+見込み
実績3年+計画3~5年といった中期計画が基本となります。
売上が大きすぎる計画を立ててしまい、仮にそれが実行できなかった場合、銀行からの信用を損なってしまうことから、下方修正するとしても20%以内におさめたいところです。
その意味でも、できるだけ保守的に
損益項目の下部に、以下の項目を織り込むとよいとされます。
- 簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)
- 従業員数
- 借入金残高
- 現預金残高(平均月商の2ヶ月分以上となることが目安)
- 経常運転資金(売上債権+棚卸資産-仕入債務)
- 債務償還年数((借入金残高-現預金残高-経常運転資金)÷(税引後利益+減価償却費))
- 年間返済額
- 純資産
- 自己資本比率(20%以上が目安)
資金繰りの実績+見込み
実績3ヶ月+計画向こう1年といった短期計画が基本となります。
銀行への説明の順番
最初に、決算報告書(過去~現在)に基づいて決算書の内容の説明を行い、その後に経営計画書(現在~未来)の説明をしていくという順番になります。
先に経営計画書を説明しても、それは実績ではないことから、銀行側ではイメージが浮かびづらいと思われます。