経済産業省が公開しているツール「ローカルベンチマーク」にはどのようなことを記載すべきか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
ローカルベンチマークの概要
ローカルベンチマークとは、2016年3月、経済産業省によって公開されているツールで、企業の財務状態・経営状態の健康診断ができるものです。
融資の際の事業性評価を推進するために活用が図られているほか、補助金申請にも用いられるようになってきています。
財務情報と非財務情報から構成されています。
利点としては、同業他社との比較ができるため、それによって自社の強み・弱みが分かるようになっています。
また、作成を通して、経営者は、銀行や税理士など様々な関係者と事業に関する対話がなされることとなり、それにより経営の方向性を磨いていくことができるということもメリットです。
財務情報の指標6つ
財務情報は以下の6つの指標から構成されています。
- 売上増加率:(当期売上高÷前期売上高)ー1
※社内モラル維持のため売上増加を最優先していない場合、その旨を銀行に伝えるとよい - 営業利益率:営業利益÷当期売上高
- 労働生産性:営業利益÷従業員数
※営業利益の増加のための取り組みを銀行に伝えるとよい - EBITDA有利子負債倍率:(借入金-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
- 営業運転資本回転期間:(売上債権+棚卸資産-買入債務)÷(売上高÷12)
※回転期間に変化があれば、その旨を銀行に伝える(粉飾や不良在庫はないことを示す) - 自己資本比率=純資産÷負債純資産合計
※20%以上が安全圏
非財務情報の指標5つ
非財務情報は以下の5つの指標から構成されています。
- 商流・業務フロー
※差別化ポイント・強みを見つける、なければ課題にする - 経営者に関する情報
※価値観・理念、経営意欲、後継者を記載 - 事業に関する情報
※ターニングポイント、変化、強み弱み、ITへの取組み、生産性向上への取組みを記載 - 企業を取り巻く環境・関係者に関する情報
※市場動向、規模、シェア、競合他社、顧客リピート率、新規開拓率、取引先の推移、従業員定着率、平均給与、取引金融機関を記載 - 内部管理体制に関する情報
※組織体制、品質管理、情報管理、事業計画、従業員との共有、社内会議、研究開発、知財、人材育成への取組みを記載