支出を伴わない節税もありますが限定的で、大体の節税策は支出を伴うもので、”節税するにもお金が要る”という状況ではあります。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
過度な節税の弊害
節税できるのであればそれに越したこともありませんが、やはり何事も過度なものには弊害がつきものです。
過度な節税にはどのような弊害があるか。
- 税金が減る以上に手元資金は大きく減る
(経費を100万円使っても、減る税金は26万円ほどで、残り74万円は手元資金からなくなってしまう) - 受けられる融資を失う可能性がある
(税引後利益の10倍が融資を受けられる”枠”の目安とされており、税引後利益が減る=融資枠が減る、債務超過になると融資が非常に受けにくくなる) - 少しだけ黒字などの場合、いかにもな数字に映り、粉飾や数値の操作を疑われる
過度ではないかをどのように捉えるか
過度でない節税とは何か。
ひとつの目安として、以下の考え方があります。
- 年間借入返済額程度の利益は確保できているか
(簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)>年間返済額) - 事業投資の要素はあるか
(将来の売上や利益の増加の種まき、経営基盤の強化としての効果はあるか) - 前倒しか
(将来の支出がなくなり得することが見込めるか)
融資が活用できれば、経営の選択肢も増える
事業にとって、”資金”はすべての原資であるともいえます。
その際、その”資金”を、融資という形でどれくらいか調達できるのか・どれくらい活用できるかという可能性を残しているかどうかは、大きいものです。
融資を活用できれば、納税資金すら調達することもできますし、目先の納税よりも先の事業の見通しに目を向けることが可能になります。
”借りられるときに借りておく”
銀行からは、いつでも借りられるというわけでもありません。返済原資(=利益)があってこそ銀行は納得し、貸し出してくれるものです。
そのため、”借りられるときに借りておく”という発想も重要で、その借りられるときに借りたお金で、苦しい時期を乗り切っていくといった対応も必要になるかもしれません。
利益を上げ、融資の活用価値を広げ、多様な資金から様々な行動や展開を取ることができると、経営の自由度も上がってくると考えられます。