新規融資を受けた後の展開として、どのようなパターンが考えられるか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
融資メンテのバリエーション
新規融資を受けた後の展開としてどのようなパターンが考えられるのかを知っておくことで、どのようなときに銀行にはどのように相談すればよいかが分かるようになります。
- 折り返し融資
- 短期継続融資
- 一本化する
- プロパー融資を引き出す
- 金利を下げる
- 経営者保証・担保を外す
- 資本性借入金
- メインバンクを見直す
- リスケジュール
②短期継続融資
短期継続融資とは、運転資金に対する手形貸付による融資をいい、手形貸付の場合、毎月返済はなく期日一括返済、かつ、基本的には更新されていくというものになります。
当座貸越による場合もあり、その場合にも毎月返済はなく、返済するかしないかは会社の自由というようなものになります。
- 運転資金が多いと証書貸付ばかりでは毎月返済がかさむため、それを軽減する意味で活用価値がある
- 返済期日ごとに銀行審査があるため、銀行も伴走支援がしやすい
- 支払手形では不渡りリスクがあるため、置換えのメリットがある
- 2015年の金融検査マニュアル改定・2016年の金融仲介機能ベンチマーク採用により、短期継続融資が促進される流れができた
- 黒字のほうが受けやすい
- 銀行は将来の赤字も気にするため、売上見込・利益見込を伝える(資金繰り予定表、経営計画書)
- 経常運転資金の構成要素である売上債権・棚卸資産の一覧を渡す(月ごとの推移や計画貸借対照表があるとなおよい)
- 棚卸資産は、現場現物を見せるとなおよい(在庫管理がきちんとできており、架空在庫はないことを示す)
- 売上債権・棚卸資産という担保でもって融資してもらう側面もあることから、保証なしを交渉する
(現在の経常運転資金を超えるのであれば保証付きでもやむを得ない) - メインバンクから相談する(メイン通帳で売上仕入の異動があるため銀行側で取り組みやすい)
- 短期継続融資が難しそうな場合、折り返し融資で相談する
- 継続してもらえない場合でも一括全額返済となるのは稀で、毎月分割返済への切替えが現実的