融資メンテのバリエーション⑤

新規融資を受けた後の展開として、どのようなパターンが考えられるか。

諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。

目次

融資メンテのバリエーション

新規融資を受けた後の展開としてどのようなパターンが考えられるのかを知っておくことで、どのようなときに銀行にはどのように相談すればよいかが分かるようになります。

  • 折り返し融資
  • 短期継続融資
  • 一本化する
  • プロパー融資を引き出す
  • 金利を下げる
  • 経営者保証・担保を外す
  • 資本性借入金
  • メインバンクを見直す
  • リスケジュール

⑤金利を下げる

金利を下げる交渉を思うとき、そもそも金利の性質などを知っておく必要があります。

  • 金利には、「固定金利」と「変動金利」がある
  • 手形貸付:固定金利、証書貸付:変動金利、当座貸越:変動金利、が基本
  • 固定金利の場合、繰上返済時に違約金が発生することがあるので注意
    (銀行が固定金利を設定する場合、リスク回避契約(スワップ契約)を交わしているため)
  • 変動金利:短期プライムレート(基準金利)+α(会社の信用力の度合いに基づく上乗せ)
  • 銀行が金利引上げ交渉をしてくる場合、理由を確認する(銀行側の事情が理由であれば応じる必要はない)
  • 現状金利は十分に低水準にあり、過度な金利引下げ交渉をすると、銀行との関係性が悪化する可能性がある
  • 銀行の乗り換えが多発すると、実質借入が不利な状況に陥ったり、いざというときのメインバンクが定まらなかったりする
  • 今後は金利が上がる可能性が高い(銀行統廃合による競争緩和、コロナ禍による保証付き融資枠減少によるプロパー融資のハイリスク化、融資先拡大によるハイリスク化)
  • 事業性評価の存在が高まるので、経営計画書やロカベンを活用していく

金利交渉の切り口

他行金利(他銀行の金利)

複数行と取引しているとして、A取引銀行に対するB取引銀行は他行にあたり、その金利をいいます。

もしA銀行と比較してB銀行の金利が高いようであれば、交渉の余地があるということになります。

他行金利をベースに金利引下げ交渉しようと思うとき、以下に留意する必要があります。

  • そもそも複数銀行と取引している必要がある
  • 銀行からして失いたくない融資先と思われておく必要がある(利益が出ている必要がある)

実質金利(実質的に借りている金額への金利)

A銀行から借入しているとして、もし、A銀行に預金をしているとしたら、”実質的に借りているお金”としては圧縮されることになります。

この”実質的に借りているお金”に対する利率(実質金利)が高くなっているような場合には、金利引下げの交渉の余地が生まれるということになります。

貸出約定平均金利

日銀が毎月ネットで公表している金利情報として、「貸出約定平均金利」というものがあります。

これはいわば金利の”相場”ともいえるものになります。

もしもこの貸出約定平均金利よりも自社の借入金利が高い場合、銀行に、その”高い理由”と聞いてみることができます。

銀行には銀行なりの理由でもって金利設定しているものなので、一方的に詰め寄るのではなく、”高い理由”を尋ねて把握することで、”自社がどのように努力していけばよいのか”が見えてくるようになります。

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