新規融資を受けた後の展開として、どのようなパターンが考えられるか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
融資メンテのバリエーション
新規融資を受けた後の展開としてどのようなパターンが考えられるのかを知っておくことで、どのようなときに銀行にはどのように相談すればよいかが分かるようになります。
- 折り返し融資
- 短期継続融資
- 一本化する
- プロパー融資を引き出す
- 金利を下げる
- 経営者保証・担保を外す
- 資本性借入金
- メインバンクを見直す
- リスケジュール
⑦資本性借入金
資本性借入金とは、借入金のなかでも銀行の評価上は自己資本とみなされる借入金のことをいい、評価上、”借入しつつも自己資本を増やす”ということができることから注目されているものです。
最近では、コロナ禍において、日本政策金融公庫が「新型コロナ対策資本性劣後ローン(新型コロナウィルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付)」という資本性借入金を提供し、民間金融機関からの融資を促そうとしたことがありました。
他にも、「信用保証付債権DDS(信用保証協会の保証付き融資を資本性借入金に転換する制度)」というものも出ています。
- 銀行の評価上、自己資本とみなされるため、新たな融資が受けやすくなる
- 金融庁の定義として、資本性借入金は「返済期間5年超・期日一括返済」としている
(公庫では、5年1ヶ月・7年・10年・15年・20年がある) - 期間中は元本返済の負担がない
- 無担保・無保証
- 劣後性があるため、他負債への返済を優先し、それでも余力があれば資本性借入金を返済すればよいとされている
- 金利:利息は毎月払いで、業績連動型=黒字のときには金利負担を増す
(税引後利益が0円未満であれば0.50%、税引後利益が0円以上であれば2.6~2.95%) - 融資というよりも出資に近く、利息というよりも配当というイメージ
- 融資後5年間は返済できないとされており、繰上返済できない
- 詳細な事業計画書が必要
新型コロナ対策資本性劣後ローンの特性
- 原則として、融資後1年以内に民間金融機関等から融資・出資による資金調達が見込まれること
=強調支援が前提 - 新型コロナウィルス感染症の影響を受けた事業者である必要あり
(影響を受けていない場合、通常の資本性ローンを検討する) - 期日一括返済である必要あり
- 既存借入の返済に充てるものではないとされている
- 融資限度額は7,200万円とされている
- 完済までの間、定期的に公庫に経営状況を報告する必要あり
- 公庫から株主的立場から意見されることもある