新規融資を受けた後の展開として、どのようなパターンが考えられるか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
融資メンテのバリエーション
新規融資を受けた後の展開としてどのようなパターンが考えられるのかを知っておくことで、どのようなときに銀行にはどのように相談すればよいかが分かるようになります。
- 折り返し融資
- 短期継続融資
- 一本化する
- プロパー融資を引き出す
- 金利を下げる
- 経営者保証・担保を外す
- 資本性借入金
- メインバンクを見直す
- リスケジュール
⑨リスケジュール
リスケジュールとは、「当初融資後、返済条件を変更すること」をいいます。
ただ、銀行側としては”当初契約が守れなくなった”と相談されると驚くものですし、会社側としては慎重に進める必要があります。
リスケを相談するタイミング
基本的に、銀行側としてはリスケの相談があるとそれなりにおおごととして捉えるものです。
ただ、かといって、何もしなければ資金繰りは悪化する一方かもしれず、ギリギリまで悪化してしまうと逆に銀行は返済してもらえるかどうかが不安になり、貸してくれなくなる可能性もあります。
また、リスケの相談をした場合、その話をまとめるまでに、数ヶ月~半年程度かかるといわれています。
では、どのあたりがタイミングなのか。以下のいずれもの状態になったとき、と考えられています。
- 簡易CF(税引後利益+減価償却費)>年間返済額、になったとき
- 新規借入、折り返し融資、借換えなどといった借入パターンが使えなくなったとき
リスケのポイント
- まずはメインバンクへ相談する(メインバンクが応じれば他も応じやすくなる)
- メインバンクへ相談するにしても、いきなり相談するのではなく、普段から試算表・資金繰り表を提示しておく
- バンクミーティングを行うとかえってまとまらないので避けたほうがよい
- バンクミーティングよりも、自分から各銀行に出向き、当初の約束が守れなかったことを謝罪しながら個別に相談する
- リスケの銀行の回答まで異常に時間がかかっている場合には、自主的に返済をストップすることも選択肢に入れる
- リスケは”最後の手段”を思いすぎない
- リスケ後は、6ヶ月~1年程度は元本据置期間(元本の返済猶予期間)の設定を交渉する
- 全銀行一律同条件であることを理解しておく(特定の銀行だけに返済は×、金利引上げ交渉があれば全銀行一律同条件なのでと伝える)
- リスケ期間中でも、資金使途・返済原資が分かれば新規融資を受けることができる可能性がある
- リスケ期間中、簡易CFが回復すれば、借換えや一本化を検討することもできる
- 銀行面談では、ポジティブな印象を与える
- リースのリスケ交渉は難易度が高い
支払いの優先順位を確認しておく
- 支払手形(不渡りを出さないようにする)
- 給与(内部従業員のモチベーションを下げないようにする)
- 買掛金(仕入先の信用を確保する)
- 家賃・水道光熱費など(支払猶予交渉・分割払い相談)
- 税金・社会保険料(支払猶予交渉・減免・分割払い相談)
- 借入返済
リスケに必要な資料
- 経営改善計画書
- 資金繰り表は、リスケした場合とリスケしなかった場合とで2パターン作成する
- 5年以内に正常化できるかどうかをはっきりさせる(債務超過解消、債務償還年数10年未満へ、通常返済移行)
- 借入金一覧表
- ローカルベンチマーク
- 計画BS