資金繰りの改善、具体的にどのように進めればよいか。
増山秀和著「資金繰りなるほどQ&A」(中央経済社)を参考にして。
収益の面から
収益と収入は異なる
「収益」と「収入」とは異なるものです。
収益とは、会計税務上のルールに基づくもので、「納品日」にカウントします。
一方、収入とは、上記の納品日の後に、実際に「お金が入金となった日」にカウントします。
会計税務でできあがる資料に関しては、納品して業務完了した頑張りを評価するものなので、”収益”で作成されています。
ただ、実際の資金繰りについては、頑張りの後の実際問題として、いつ資金が入ってくるかが重要となります。
売上債権をチェックする
収益から収入へと変わるまでの間は、”売上債権”と表現されます。
収益が大きく上がっていたとしても、もしその分がそのまま”売上債権”として積み上がっていくとしたら、収入には反映されないということになり実際の資金繰りは苦しいということになります。
売上債権の積上りや状況についても、定期的にチェックしたいところです。
取引先別や時系列などに並べてみると、交渉すべき箇所が見つかる可能性があります。
費用の面から
費用と支出は違う
「費用」と「支出」とは異なるものです。
費用とは、会計税務上のルールに基づくもので、「納品日」にカウントします。
一方、支出とは、上記の納品日の後に、実際に「お金が出金となった日」にカウントします。
会計税務でできあがる資料に関しては、納品された事実を反映させるものなので、”費用”で作成されています。
ただ、実際の資金繰りについては、納品された後の実際問題として、いつ資金が出ていくかが重要となります。
仕入債務をチェックする
費用から支出へと変わるまでの間は、”仕入債務”と表現されます。
費用が大きく上がっていたとして、もしその分がそのまま”仕入債権”として積み上がっていくとしたら、支出には反映されないということになり実際の資金繰りは異様によくなるということになります。とはいえ、実際には、そのような姿勢でいると支払先から敬遠されてしまうので、結果、事業はうまくいかないということにはなります。
仕入債務の積上りや状況についても、定期的にチェックしたいところです。
取引先別や時系列などに並べてみると、交渉すべき箇所が見つかる可能性があります。
在庫をチェックする
在庫は、資金を投下し、それが利益の乗った状態で再び資金として回収される間の、いわば”金券”であるともいえます。
もし在庫が在庫のまま長くあるということは、手元資金は少なくなっており、資金繰りのよくない状態であると考えられます。
在庫の状況が望ましい状態であるかどうかについては、定期的にチェックしたいところです。
商品ごとに在庫のレベル(利益率、回転期間、仕入単価、在庫コストなど)を設けて管理し、それぞれの方針を考えるとよさそうです。
利益でどこまで賄える?
通常の利益でどこまで賄える状態にあるか、自社のレベルを確認しておくとよさそうです。
- 通常の利益で、借入返済も設備投資もでき、なお資金が余る状態
- 通常の利益に手持ち資金を追加することで、借入返済も設備投資もできる状態
- 通常の利益に手持ち資金を追加し、さらに新規借入を追加することで、借入返済も設備投資もできる状態
- 通常の利益に手持ち資金を追加しても、借入返済すら難しい状態