「メリット」と「ベネフィット」の違いを押さえておきたいところです。
岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)を参考に。
”ベネフィット”を感じてもらう
お客様は、”自分にとってプラスになるものにのみ”関心を示し、購入決定するものであるといえます。
”プラスになる”とは、その商品・サービスを購入することにより、自身の「悩み」がどのように解消されるか・自身の「欲求」がどのように満たされるか、ということになります。
「メリット」と「ベネフィット」の違い
「メリット」と「ベネフィット」、似ているもののようで異なっています。
メリット
「メリット」とは、「商品の特長」のことを指します。
自社の商品・サービスにはどのように優れた点があるか、ということになります。
ベネフィット
「ベネフィット」とは、「商品の特長のうち、ターゲットごとに異なる”悩み”・”欲求”をどのように具体的に解決する(満たす)ことで、どのような未来が待っているのか」ということを指します。
お客様ごとに、悩みも欲求も異なります。
つまり、”同じ商品・サービスでも、お客様ごとに異なった価値がある”ということになります。
自社の商品・サービスのメリットが自社のお客様ターゲットにどのように活きるのか。
メリットは一様であっても、お客様ターゲットが複数あるのであれば、ベネフィットは複数存在するということになります。
お客様は誰なのか、が重要
上記よりいえることは、自社の商品・サービスを売っていこうと思い、ベネフィットを考えようと思うときには、”自社にとってのお客様は誰なのか”を明確にする必要があるということになります。
素晴らしい商品・サービスを開発し、メリットをたくさん言語化したとしても、”お客様は誰なのか”が定まらなければ”ベネフィット”を言語化することができません。
お客様は誰なのかを考えるとき、”決裁権者”という意味合いで考えていくことも重要です。
実際に使用・利用する人と、お金の出し手(決裁権者)とが異なることもままあるからです。
また、”お客様は誰なのか”を考えてお客様を絞り込もうとするとき、これまででは”性別・年代・エリア・独身かどうか・所得”などで区分されてきましたが、インターネットが普及し、各個人の接する情報が多様化してきているなかでは、各個人の趣向・要望も多様化してきています。
そのため、上記のような区分では把握しきれないと考えられ、「悩み」「欲求」ごとに区分していくほうがよいと考えられてきているようです。
「決め手」を掘り下げる
お客様の考える「決め手」=自社の「強み」と考えられます。
他社との検討において勝ち抜いたポイントが「決め手」であるので、それはつまり、自社の差別化ポイントであり、強みであると考えられます。
お客様の”要望”という切り口で情報を集めると、様々な改善点が挙げられることもあり、それに対して真摯に応じていくことも必要ではあります。
ただ、短所を直すよりも、長所を伸ばすほうが即効性があります。
より短期的に効果の出る”「強み」をより際立たせる”を優先的に行い、その間、短所を直すための施策を中長期にわたって対処する、といったほうがバランスがよいと考えられます。
また、どうにもできない弱みがあるのであれば、あらかじめ出してしまったほうがよい場合もあります。
その弱みがあってもよいと考えるお客様だけを引き寄せ、あらかじめ期待値のコントロールができていたほうが、ストレスやトラブルが少ないためです。
ブレないようにするための基軸
岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)にて、印象に残る言葉があります。
これらの施策は、ブレないようにしなければ意味がありません。
では、何に対してブレないようにすべきなのか、ということ。
大切なのは、「すべてのお客様に愛される」ことでなく、「愛してくれるお客様を裏切らないこと」になってきます。
岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)より
”お客様は誰なのか”ということを考えるとき、まずは難しく考える必要はないと思われます。
まずは、自社の”既存のお客様”の「期待」「要望」「悩み」「欲求」が何であるかということと真摯に向き合うということ。
その後に、自社の求めるお客様像を少しずつ更新していけばよいと考えられます。