事業をしている限り、事業のお金の流れが漠然としている場合のストレスは尽きません。
このストレスへどのように向き合うか。
和仁達也「コンサルタントの教科書」(かんき出版)を参考にしつつ、キャッシュフローコーチとして考えたこと。
事業のお金の流れが漠然としていることによるストレス
成長傾向なのに、なぜかいつもお金がない
起業して数年の事業者で、よくある悩みとして以下のようなものがあります。
- 起業して数年、周囲の認知や関係性もできてきて、売上が成長傾向
- 売上が成長傾向なのに、いつも手元にお金がない(→仕入代金が先行し、売上代金は後回収なため)
- 経営者としてはもっとアクセルを踏みたいが、手元のお金の状況も気になってしまう
- 経営者は多忙で、事業のお金の状態が把握できずにいる
or
親族が経理をしているが、お金のことでどのように話してよいか分からない/遠慮して話せない - 分からないまま進むしかない状態
- どうしてもお金の状態が見えない不安があり、十分にアクセルを踏めない
上記のような場合、まずはともあれ現状を把握することができれば、手の打ち方が見えてきます。
現状が把握できると、おのずと、「収支分岐点」や「近い未来の資金残高予測」もできるようになってきます。
成長傾向にあり、問題は資金繰り(入出金のタイミングの問題)だけ、ということが分かると、銀行借入しても月々の返済には問題ないことが確認とれ次第、銀行交渉という選択肢を持って進んでいくことができます。
今は問題ないが、将来的に大丈夫かが不安
起業してかなりの期間が経ち、実績のある事業者で、よくある悩みとして以下のようなものがあります。
- 起業してかなりの期間が立っていて、実績も十分、資金残高も十分、事業も現状では順調
- 現状はよくとも、経済の動向・国の政策の動向など、将来の先行きを見据えて、次の展開を考えたい
- 先を見据えて必要な分野に経営資源を割いていった場合、バランスがどの程度崩れるかどうか
- 現在の収支を支えている固定費(スタッフ給与、家賃)をまかなえるかどうか
- 現状から将来にかけて、資金面での舵取りへの不安
上記のような場合でも、まずは 現状を把握することで、手の打ち方が見えてきます。
何をどのようにすれば、どの程度バランスが崩れるかどうか。
その崩れるであろうバランスが、許容範囲内か、許容範囲外か、納得感をもって経営判断をしていくことができます。
どのステージでも、課題がある
起業したてであっても、成熟しても、事業そのものとお金とは、切って切り離すことはできません。
つまり、どのステージであっても、「お金とのバランスが見えているか」という課題は尽きないものです。
現状 | 把握レベル | 主な経営課題 |
---|---|---|
黒字 | お金の流れが見えている | 将来の展開とお金とのバランス |
黒字 | お金の流れが見えていない | なぜいいのかが分からない→判断基準が持てない |
赤字 | お金の流れが見えている | 商品力・営業力をどのようにしていくか |
赤字 | お金の流れが見えていない | 収支構造の抜本的な改善 |
このように見ていくと、お金の流れが見えている場合は、経営者としてどのように行動していくべきかのイメージが見えやすくなります。
反対に、お金の流れが見えていない場合は、どのように行動していくべきかのイメージが見えづらいものです。
苦手意識なく、まずは全体を把握する
「事業そのもの」と「お金の流れ」とは、車の両輪になっており、切って切り離すことができません。
事業そのものは好きであったり得意であったりでイメージが湧きやすい一方、「お金の流れを把握する」ことは不慣れでとっつきづらく感じるものです。
会計のルールも税務のルールも複雑ですし、どうしてもとっつきづらいものになってしまいます。
これは、会計や税務は「正確性が最優先事項だから」というところに原因があります。1円単位で合わせ、表示させ、曖昧さが許されません。これはこれで必要・重要なことです。
一方で、これらの会計税務をベースとして、経営判断をするうえで必要な部分だけを抜き出し、細かな部分をコンパクトにまとめ込んだものがあれば、「お金の流れ」の全体像をイメージで掴むことが可能となります。
さらに、それに沿った詳細版(現状、予測)としての経営計画を作成しておけば、ブロックパズルで見渡したときにより詳しく知りたいと思ったときの対応も可能となります。