売り手側の立場にいると買い手側の心理が分からないものですが、そのようなときは、実際に立場を変えてみることが”論より証拠”感があります。
赤羽雄二「自己満足ではない「徹底的に聞く」技術」(日本実業出版社)を参考として。
防衛するようになる
「売り手」という立場になって最初の頃は、「買い手」側の気持ちが分かっていたりするものですが、時間が経てば経つほど、経験を積めば積むほど、「買い手」側の気持ちは忘れていくものです。
そして、「売り手」という立場・役割に対して熱心に打ち込めば打ち込むほど、思い入れもプライドもでき、やがてはアイデンティティのようにもなってきます。
ある意味では、これは自然な人の気持ちの流れともいえるのかもしれません。
まして、その立場・役割がアイデンティティのようにもなってくると、それそのものが考え方や行動をも規定していくようにもなり、その範囲以外の考え方を受け入れることがあたかも自分自身を侵害されるような気になり、より受け入れがたいものになっていきます。
実際に立場を変えると”気づく”
これについては、十分に意識したうえで、実際に立場を変えてみると、その経験のなかから、自ら気づくことが多くあります。
「売る側」ではなく、「買う側」に実際に立ってみる。
そうすると、実際に、買い手側の立場の人がどういう気持ちになるのか、どう感じるのかをリアルに知ることができます。
これによって、”相手側からはこのように見えるのか”と気づくことができます。
立場・役割という枠を尊重できる
いざ「買い手」側の心理を取り入れて事業の改善を試みようと外部から言われても、なかなか応じることはできなかったりします。
”立場”・”役割”は、人を規定している大事なものです。その大事なものを外部から侵害されたくないと感じ、自分自身を守るために自然と防衛するようになるのかもしれません。
そのようなときは、外部から言うのではなく、”その人自身で気づく場”を作るのが最も効果が高いといえます。