会話の感受性を高めることができれば、より深く積極的に相手の話を聞いて理解することができると考えられます。
ケイト・マーフィ著・篠田真貴子監訳、松丸さとみ訳「LISTEN」(日経BP)を読んで考えたこと。
同じ話でも、聞く人によって感じ方が変わる
同じ話であっても、聞く人によって感じ方・受け止め方が異なるものです。
話し手が同じことを投げかけても、聞き手がそれぞれの感じ方でその話の形を整えて投げ返すためです。
よって、聞き手の数だけ意味の複雑さも幅も広がることになります。
それは、教育・人種・性別・年齢・関係性・心持ち・集中力・言葉の解釈の余地の度合いなど様々な要因によると考えられます。
会話の感受性
相手の話をよく聴くには、「会話の感受性」の高さが必要になります。
「会話の感受性」とは、”会話の中で何が起きているのかを正確に聞き取り、感じ取る能力”のこととされます。
- 相手の言葉に注意を払う
- 相手の言葉に隠された意味に気づく
- 声のトーンの微妙な変化を察知する
- うわべだけの好意を見抜く
- 人が話したことをよく覚えている
これらは、できるだけ多くの人の話を聞けば聞くほど培われると考えられています。
できるだけ多くの人の話(意見、信念、感情、態度など)を聞くことで、人が持つ多様な面に気づくことができるようになり、直感が磨かれるというものです。
会話の感受性を高めるポイント、低まるポイント
「プライベートな話題」は会話の感受性を高める
人は、物語を読むように感情移入して話を聞くことで、感受性を高める傾向があるといわれています。
話し手のプライベートな話題のときには、他人は聞き耳を立てて聞いてしまうというものです。
つまり、話し手のストーリーの背後にある感情に巻き込むことができるかどうかがポイントになると考えられます。
「感情の共鳴」が欠如すると、話は退屈なものに感じてしまうものです。
”その人とその人との個性の対話だからこそ生まれる感情・考え”をいかに共有できるか。
「事前調査・多くの質問」は会話の感受性を高める
人は、相手から以下のことを感じると、より積極的に話をしてくれる傾向があります。
- 自分のことをよく知ってくれている
- 受け入れられている
- 気遣ってくれている
- 関心を持ってくれている
「わくわくすること」は会話の感受性を高める
人はわくわくすること・情熱をかけていることについては、活き活きとし、饒舌になる傾向があります。
相手の「わくわくすること」「情熱をかけていること」は何なのかを知ることができれば、より多くの話を聞く機会を作ることができます。
相手が何を求めているか、不安を感じているかを知る
特に最初に積極的に聴くに徹することにより、以下のことが分かると考えられます。
- 相手が(本当は)何を求めているか
- 相手が(本当は)何に不安を感じているか
これらが分かることにより、その後、どのような話をすればよいか、どのように話を聞けばよいかを正確に考えることが可能になります。
聴くときの自分の傾向(バイアス)を知っておく
聞き手自身が、「自己認識力」「自己監視力」が高いかどうかが重要と考えられています。
話を聞くときにどれほど自分の中に、聴いて受け止めるときの「傾向・バイアス」があるかどうかを知っておくというものです。
いわば、車の運転の際、死角が最小限になるようミラーを調節するような行動です。
自分がどのようなときに間違った判断へと飛びつきがちなのか。または、自分の聞きたいようにしか聞けないときはないか。
会話をしているときの自分の感情に向き合い、その”自分の感情に振り回されることでどれくらい他人の話を聞けないのか”を知っておくことで、より正確に相手の話を理解することができますし、何が本当で偽りなのかを知ることができるようにもなると考えられます。
それは、自分の弱さと向き合うことでもあります。
ありとあらゆるものに意味があり、自身のなかでその意味が通らず、腑に落ちないときは注意を払い、会話のなかで意味が分からない点・曖昧な点を質問し、確認することが必要と考えられます。
自分と他人とは違う人間であることを前提とし、より注意深く聴いたり質問したりすることにより、正確な理解へと繫がると考えられます。