お客様は一様ではなく、それぞれのお客様によって、求める”価値”は異なります。
佐藤義典著「マーケティング戦略 実行チェック99」(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にして。
絞らなければ負ける
事業には、少なからず競合が存在します。
そのような前提で考えてみたときに、”とある一定の消費者層向けに特化した物・サービス”と、”どの消費者にも刺さらないコンセプトのぼんやりした物・サービス”があるとして、お客様はどちらを選ぶか。
自分がお客様の立場で考えてみると容易に想像がつくとおり、より自分の状況に寄り添ってくれている物・サービスを選ぶことになります。
翻って考えてみると、自分が売る側の立場である場合、”絞らなければ、競合に負ける”ということになります。
しかしながら、絞ることは怖いことです。
なぜなら、絞るということは、他を捨てることでもあるからです。
ゆえに、慎重に狙いすます必要があるのです。
逆にいえば、そこまでしなければ、消費者に選んでもらえない=売れない、ということでもあります。
分ける
まずは、消費者全体を、様々な切り口で様々な層に切り分ける必要があります(セグメンテーション)。
ただし、闇雲に切り分けても意味を持ちません。例えば、ただ年齢層で切り分けても意味のないことも多いのです。
”なぜ切り分けるのか”と考えてみると、その切り分け方の奥の深さに気付かされます。
そもそも、”なぜ切り分けるのか”。それは、人によって求める価値が異なるから。
つまり、自社基準で切り分けても意味がないのです。
お客様にとっての”価値”によって切り分ける必要があります。
その商品・サービスによって、お客様はどのようなベネフィットを享受することができるのか。
早さ?安さ?品質の高さ?新規性?などなど。
自社の商品・サービスによって、お客様に届けたいベネフィットによって切り分ける必要があります。
他にも、「客観的であるかどうか(抽象的でないか)」「売るべきもの・買う方法や場所・広告媒体・売り文句が明確に異なるものかどうか」などを考えながら分けなければ、後々の具体的な戦略策定に影響してしまいます。
ことは慎重を要します。なぜなら、分け方・狙い方を誤ると、売れないからです。
狙う
切り分けたなら、どの層をターゲットとするか考える必要があります。
その際、「ターゲットとする層の市場規模は小さすぎないか」「ターゲットとする層は自社商品に価値を感じてくれるか」といったことを考える必要があります。
売る側の視点に立つと途端に見えなくなりますが、買う側の視点に立ってみると、様々なことが見えてくるものです。
買う側も人間です。個々の様々な状況のなかで、色々な思いを抱えながら商品選びをしています。
お客様の抱えている悩みをよりリアルに捉えられるか、その悩みに自社商品は寄り添うことができるかどうか、が大事であるといえます。