ヒーロー型/プリンセス型のジャーニー、マーケティングポイント

谷本理恵子著「プリンセスマーケティング」(インプレス社)を参考にして。

目次

ヒーロー型、プリンセス型のストーリー

カスタマージャーニーには、「ヒーロー型」と「プリンセス型」があり、それぞれにおいて、以下のような違いがあるとされています。

  1. ストーリー
  2. 登場人物の設定
  3. モチベーション
  4. 意思決定の中身
  5. 何を信じるか
  6. 関係性の築き方
  7. 未来の見せ方

特徴

評価軸ヒロイン型プリンセス型
① ストーリー主人公が自らの力で困難を乗り越え、努力によって成長し、目標を達成する。主人公が「本来の自分」に気づき、周囲のサポートや「魔法」によって輝きを取り戻し、幸せになる。
② 登場人物の設定初期から自信があり、全能感を持ち合わせている。
仲間とともに自ら道を切り開く。
初期は自己評価が低く、不安を抱えがちで自信がない。
周囲の精神的な助けを必要とする。
③ モチベーション勝利、目標達成、レベルアップ、効率性。
具体的な成果や他者からの称賛。
「本来の自分」への回帰。
感情的な満足、その場にいることの楽しさ、安心感。
自信の獲得。
④ 意思決定の中身具体的な課題解決、結果が出るかどうかが重要。
効率や効果を重視する。
「魔法」のような変化への期待。
安心感や信頼感を重視し、共感が購入の決め手になることも。
⑤ 何を信じるか自分の努力、客観的なデータや実績、具体的な保証(結果と連動した保証)。直感、周囲のサポート、推薦。
専門家や信頼できる人からの合理的な説明による安心感。
⑥ 関係性の築き方競争相手や師弟関係など、スキルを高め合う関係。共感し、サポートし合い、励まし合う関係。
不安を理解し、先回りして解消してくれるような信頼関係。
⑦ 未来の見せ方目標を「獲得する」こと。
具体的な成果やステータスを手に入れた状態。
「自信を持つ」こと。
「本来の自分」を取り戻た状態。
素晴らしい感情体験。

マーケティングのアプローチポイント

評価軸ヒーロー型プリンセス型
① ストーリー・論理的かつ段階的な成功への道筋(ロードマップ)を提示し、顧客自身が計画を立てられるように促す。

・課題解決能力や戦略的思考を刺激するような問いかけや情報提供を行う。
・顧客の不安や自信のなさに寄り添い、共感の姿勢を第一にする。

・「努力しなくても変われる」という誤解を与えず、「本来の魅力に気づくきっかけ」であることを伝える。

・焦らせず、顧客のペースを尊重する。

・顧客が「本来の自分」に出会い、内面から輝き出す変身の物語を、感情豊かに語りかける。

・商品やサービスを、その変身を優しくサポートする「魔法のアイテム」や「信頼できる案内人」として魅力的に描写する。

・変身後の理想の姿を、憧れを抱かせるようなビジュアルやストーリーで具体的に見せる。

・「ほんの少しの勇気で、新しい自分に出会えますよ」といった受容と肯定のメッセージを伝える。

・共感と憧れを喚起する美しいビジュアルや、心に響く言葉選びを重視、安心感を与える穏やかなトーンで接する。

・顧客の感情に寄り添い、丁寧なコミュニケーションを心がける。
② 登場人物の設定・顧客を「自ら道を切り開く挑戦者」「目標達成意欲の高いパイオニア」「困難に立ち向かう勇者」として描き、その能力をさらに引き出す存在として商品・サービスを位置づける。

・顧客の繊細な感情に配慮し、否定的な言葉やプレッシャーを与える表現を避ける。

・安心感と受容的な雰囲気作りが最重要。「こうあるべき」という理想を押し付けない。

・ 顧客の可能性を信じ、「心優しい理解者」「寄り添う導き手」「秘密を共有できる友人」と位置づける。

・変身後の理想の姿を、共感できる顧客モデルと共に、具体的に見せる。

・ 丁寧なヒアリングで顧客の不安や願いを深く理解し、共感の言葉を伝える。

・自信を育むサポートをする。

・「いつでもあなたの味方です」という安心感を提供する。
③ モチベーション・具体的な成果やメリットを明確に提示する。

・曖昧な表現を避け、数値やデータで示すと効果的。

・「売上〇%アップ」「作業時間〇〇時間短縮」「業界No.1の実績」など、客観的で具体的なキーワードを用いて達成感や優越感を刺激。

・目標達成後の具体的なベネフィット(収入アップ、スキル向上、社会的評価の向上など)を提示。

・ 顧客の目標達成意欲を刺激し、チャレンジ精神を称賛する。

・より高い目標設定を促し、そのための具体的な手段や情報を提供する。
・機能よりも、それによって得られる「感情的な価値」や「心地よい体験」を重視する。

・結果を急かさず、プロセスを”体験”として楽しむ姿勢も大切に。

・ 商品を通じて得られる幸福感、満足感、自己肯定感の高まりなどを五感に訴えかける美しいビジュアルやストーリーで表現。

・「あなたもこんな素敵な毎日を送れるようになります」「自分をもっと好きになれる」という共感と期待感を醸成する。

・顧客の小さな喜びや感動に共感し、その感情を分かち合う。

・「無理に頑張らなくても大丈夫」「自分を大切にする時間を作りましょう」といったメッセージで、心の負担を軽減する。

・心地よい空間や時間を提供する。
④ 意思決定の中身・購入のリスク(時間、費用、労力)を最小限に抑える情報提供を心がける。

・論理的な根拠や客観的なデータに基づかない主張は避ける。

・機能、性能、費用対効果を分かりやすく説明する。

・合理的な判断をサポートする。

・トライアルや返金保証なども有効。

・ 顧客の疑問点や懸念点に対して、迅速かつ的確に、論理的に回答する。

・メリットだけでなく、デメリットや注意点も正直に伝え、信頼を得る。
・ 「魔法」のような変化への期待感を損なわないようにしつつ、現実的な安心感も提供する。

・無理な努力や大きな変化を強いる印象を与えない。「自分にもできそう」と思ってもらえることが重要。

・商品がもたらす変化を「素敵な魔法」のように魅力的に語りつつ、その効果を裏付ける専門家の意見や、安心できるサポート体制(個別相談、コミュニティなど)を提示。

・「簡単」「手軽」「初心者向け」「あなただけの特別な」といった言葉で、心理的なハードルを下げる。

・ 顧客の不安や迷いを丁寧に聞き出し、一つ一つ共感しながら解消していく。

・購入を急かさず、顧客が納得するまで寄り添う姿勢を見せる。

・「もし合わなかったらどうしよう」という不安を軽減する選択肢(少量パックなど)を提示する。
⑤ 何を信じるか・客観性と論理性を重視する。

・実績データ、第三者機関の評価、専門家の推薦、具体的な成功事例や利用者のレビュー(特に論理的な分析や評価が含まれるもの)など、客観的で信頼性の高い情報を提供する。

・顧客が自ら比較検討し、納得して選べるような情報開示を心がける。

・ 顧客からの質問や反論に対し、誠実に、根拠を持って対応する。

・ディスカッションを通じて、顧客自身が結論に至る手助けをする。
・顧客の直感や感情を肯定する。

・無理に論理で説得しようとせず、共感と信頼をベースに関係を築く。

・ブランドのストーリーや価値観への共感を促す。

・信頼できる第三者の声、美しいブランドストーリー、開発者の想いや情熱、製品の背景にある物語などを通じ、情緒的な信頼感を醸成する。

・安心できる保証や、購入後も続く丁寧なサポート体制を具体的にアピールする。

・ 顧客の言葉の裏にある感情を読み取り、「そうですよね」「わかります」といった共感の言葉を積極的に使う。

・ブランドの世界観や価値観を共有し、ファンになってもらうようなコミュニケーションを心がける。

・「あなたにとって一番心地よい選択を一緒に考えましょう」という姿勢で寄り添う。
⑥ 関係性の築き方・馴れ馴れしい態度は避け、プロフェッショナルとしての信頼感を損なわない距離感を保つ。

・ビジネスライクな関係性を基本とする。

・ 顧客の目標達成を支援する「信頼できるメンター」や「有能な戦略家」「頼れる専門家」のような存在としてブランドやマーケターを位置づけ、専門知識やノウハウを提供する。

・有益な情報提供や、さらなるステップアップを促すような建設的なコミュニケーションを心がける。
・顧客の気持ちに寄り添い、親身で温かい対応を心がける。

・事務的な対応やマニュアル通りの対応は避け、一人ひとりに向き合う姿勢が重要。安心感と信頼感を育む。

・ 顧客の良き理解者、心強い応援者、秘密を打ち明けられる友人として、常に味方であることを示す。

・ 顧客の小さな変化や悩みに気づき、積極的に声をかける。

・立場をわきまえつつも人間味のある温かいコミュニケーションを心がける。
⑦ 未来の見せ方・具体的に達成可能な目標や成果を提示する。

・努力に見合うリターンがあることを明確にする。

・商品を利用することで、どのようなスキルが身につき、どのような地位や評価、経済的な豊かさが得られるのかを具体的に示す。

・「成功者」のイメージや、目標を達成した顧客の具体的なライフスタイル、キャリアパスなどを提示する。
・理想の未来像を魅力的に提示しつつも、顧客が自分自身でその未来を掴み取れるという希望を持たせる。

・手の届かない憧れで終わらせない工夫が必要。

・ 商品を通じ、「本来の輝きを取り戻し、自信に満ち溢れた、自分らしい幸せな自分」になれる未来を、感情豊かに、希望に満ちたトーンで描き出す。

・幸福感や充実感を、視覚的・聴覚的に、そしてストーリーを通じて訴えかける。

・「本来の自分への確信」「毎日がもっと楽しくなる」といったポジティブな変化を強調する。

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