飲食店コンセプト設計は、「5W2H」で考える

「お店をオープンしたものの、なかなか集客がうまくいかない…」「売上が伸び悩んでいる…」といった悩みを抱える飲食店経営者の方は少なくないものですが、実は開業前の「店舗コンセプト」の設計不足が原因である場合もあると考えられています。

水野剛志著「飲食店経営で成功するための「お金」のことがわかる本」(日本実業出版社)を参考として。

目次

飲食店経営の成功は「店舗コンセプト」で決まる

飲食店経営の成否は、日々の努力を意味する「運営力(30%)」よりも、開業前の準備である「店舗力(70%)」によって決まると言われています。

この「店舗力」を構成する最も重要な要素こそが、店舗の「コンセプト」です。

飲食店経営者が抱える悩みの7割は「店舗力」に起因している

多くの飲食店経営者が抱える悩みや問題は、日々の運営に起因する問題よりも、実は立地や業種ごとの特性に起因する問題の方が圧倒的に多いと考えられています。

例えば、オフィス街に居酒屋を出店した場合、金曜日の夜などのピークタイムにお客様が長居してしまい、席が回転せず売上機会を損失してしまうケースがあります。

しかし、これは居酒屋が「お客様がワイワイ話し込みながらお酒や料理を楽しむ場所」という特性を持っているため、長居されることは当たり前で、事前に想定できた問題といえます。

このような問題の約7割は、”店舗力”作りに起因しており、開業前にどれだけ時間をかけてコンセプトを練り上げたかが、成功できるか否かの重要な要素となります。

開業後の店舗力見直しには時間とコストがかかる

店舗力作りは、基本的に開業前にしかきちんとできないものです。

開業後に店舗を見直す場合は、業態変更や内装工事などお店のリニューアルが必要となり、多くの時間とコストがかかってしまうためです。

そのため、開業前にしっかりと時間をかけて店舗コンセプトを作り上げることが非常に重要といえます。

店舗コンセプトとは、お店の魅力そのものであり、お客様が訪れる理由になるものです。

魅力的で整合性の取れたコンセプトは、お店の魅力をお客様にはっきりと伝え、長く愛されるお店へと成長する基盤となるでしょう。

「5W2H」で考える!魅力を引き出すコンセプト設計のポイント

この店舗コンセプトは、「5W2H」という7つの要素に分解して考えることができます。

これらの項目を整理することで、立地条件と客単価の矛盾点など、開業前に気づくことができる問題が見つかる場合があります。

5W2Hチェックリスト

  • Who(誰に)
    • どのようなお客様に、どのような目的や頻度で来店してもらいたいか?
    • 性別、年齢層
    • 居住者、近隣従業員、浮遊客・流動客
    • 一人で、カップルで、ファミリーで、友人・同僚と、接待でなど
  • Why(何のために)
    • お客様はなぜお店を利用するのか?
    • 利用動機
  • When(いつ)
    • いつ営業するのか、お客様にいつ来店してほしいか?
    • 営業時間(モーニング、ランチ、ティータイム、ディナーなど)
    • 定休日
    • 利用頻度(週に1回、月に1回など)
  • Where(どこで)
    • どこに出店するのか?
    • 出店エリア(立地、広さ)
    • 物件の特徴(繁華街、オフィス街、住宅街、幹線道路沿いなど)
    • 家賃(固定費)
  • What(何を)
    • 何を主力商品として提供するのか?
    • 業種・主力商品
  • How(どのように)
    • どのように商品やサービスを提供するのか?
    • 売り方のスタイル(お客様の楽しみ方)
  • How much(いくらで)
    • お客様はいくら支払うのか?
    • メニューの価格、想定客単価

コンセプトにつながる項目をチェックして、理想のお店を具体化する

頭の中で考えているコンセプトを書き出すことで、より具体的にイメージを固めることができます。

コンセプトシートのチェック項目

  • お店の特徴(=他店との差別化ポイント)
    • お客様に一言で説明できる、”お店の強み”を考える
      例:焼き鳥と鶏鍋で会社帰りのサラリーマンを集める「ヘルシーでうまい鶏」をテーマにした居酒屋。
  • ターゲット
    • 誰をメインターゲットにするか
      ※お店の特徴とターゲットが一致している必要あり
  • 利用シーン
    • お客様の利用シーンを具体的にイメージする。
      ※お店の営業形態と利用シーンは一致している必要あり
  • 立地条件
    • 立地の特徴(最寄り駅からの距離)
    • 物件の広さ、席数
    • 物件の家賃
  • 想定客単価
    • 想定される注文内容から、客単価を具体的に算出する
      ※客層によって使える金額が異なる点を考慮
  • 商品力・メニュー
    • お客様が求めるものを具体的に記載。
      例:主食材は味と歯ごたえの良い博多鶏。せせり、ぼんじりなど珍しい部位も揃える。
  • 接客・サービス
    • 個人店の最大の生命線ともいえる「接客・サービス」の特徴。
      例:サービスの基本は『キビキビ感』。スピーディな提供、活気のある受け応え、心配り。
  • 内装デザイン
    • お金をかけることよりも、コンセプトに合ったデザインにする。
  • 販売促進・ブランディング
    • お店の存在を知ってもらい、忘れられないようにするために何をするか。
      例:『ヘルシーでうまい鶏料理』といえば当店といわれるよう、チラシやSNS、ネット販促で情報発信をしていく。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次