創業融資の申し込み後、避けては通れないのが金融機関の担当者との「面談」です。”どんなことを聞かれるんだろう…”・”うまく答えられなかったらどうしよう…”と、多くの方が不安に感じる場面です。しかし、事前にポイントを押さえて準備しておけば、決して怖いものではありません。融資面談でよく聞かれる質問をまとめてみます。
面談の最重要ポイントは「信用できる人物か」
融資の審査において、金融機関が最も重視することは、”この人にお金を貸して、きちんと返済してもらえるか”の一点につきます。
事業の実績がない創業者に対し、金融機関は、「事業の将来性」と「経営者の人柄」という2つの側面から判断していくことになります。
事業計画書で事業の将来性を示した上で、面談においては、経営者として信用に足る人物であることをアピールする必要があります。
担当者は、言葉や立ち居振る舞いから、事業への情熱、経営者としての自覚、そして誠実さを見極めようとします。
面談は単なる質疑応答の場ではなく、「自分」という人間をプレゼンテーションする場だと心得、自信を持って誠実にそして熱意を持って語ることが、担当者の信頼を勝ち取るための鍵となります。
【頻出】融資面談でよく聞かれる質問10選
それでは、具体的にどのような質問をされるのでしょうか。
ここでは、特によく聞かれる10個の質問を解説します。
事業計画書に書いた内容と一貫性を持たせながら、自分の言葉で語れるように準備しておきましょう。
なぜ、この事業を始めようと考えましたか?(創業の動機)
”昔からの夢だった”というだけでなく、これまでの経験と結びつけて具体的に語る必要があります。
「〇〇業界で10年働き、お客様の△△という課題を解決したいと強く思うようになった」など、経験に基づいた使命感や情熱を伝えることが重要です。
どのような経歴をお持ちですか?
これから始める事業に直結する経験を重点的にアピールします。
「イタリアンレストランで5年間、調理だけでなく店舗運営や人材育成にも携わり、売上を10%向上させた実績があります」のように、具体的な役職や実績を数字で示すと説得力が増します。
自己資金はどのように貯めましたか?
計画性をアピールする絶好の機会です。
「5年後の独立を見据え、毎月10万円ずつコツコツ貯めてきました」といった回答は、堅実な人柄を印象付けます。
親族などからの援助がある場合にはそのことを正直に伝え、贈与契約書を見せるなどし返済義務のない資金であることを明確にします。
他店との差別化ポイント(ご自身の強み)は何ですか?
自社の「ウリ」を簡潔に説明します。
「Aという強みがあるため、〇〇というお客様のニーズに応えられます」というように、強みと顧客のメリットを結びつけて語ると、ビジネスモデルの優位性が伝わりやすくなります。
ターゲットとするお客様はどのような層ですか?
年齢層や性別だけでなく、「健康志向で、少し高くても国産の有機野菜を求める30代の女性」のように、ライフスタイルや価値観まで踏み込んで具体的に語れると、市場を深く理解していることが伝わります。
なぜこの場所で開業するのですか?
”良い物件が見つかったから”だけでは不十分で、「このエリアはターゲット層である30代ファミリーが多く住んでおり、競合となる〇〇店も少ないため、十分に集客が見込めると判断しました」など、商圏調査に基づいた戦略的な理由を述べましょう。
取引先・仕入先は決まっていますか?
具体的な企業名を挙げ、「〇〇社とは既に取引の約束を取り付けています」と答えられると、計画の具体性と実現可能性が高いと評価されます。
数社と交渉中であることや、協力者(支援者)の存在を伝えるのも有効です。
事業のPRはどのように行いますか?
開業当初から売上を確保するための具体的な戦略を語ります。
「まずは地域のフリーペーパーへの広告掲載と、SNSでの情報発信に注力します。特にInstagramでは、オープン前からお店のコンセプトやメニュー開発の裏側を発信し、ファンを増やしていきます」など、開業直後から実行できる具体的なアクションを示しましょう。
将来の展望は、どのようにお考えですか?
短期的な目標と、その先の長期的なビジョンを語ります。
「まずは初年度で単月黒字化を達成し、3年後には2店舗目の出店を目指したいと考えています」のように、具体的な数値目標を交えながら、事業拡大への意欲を示しましょう。
計画通りに売上が達成できなかった場合はどうしますか?
リスクを想定し、その対策を考えていることを示す重要な質問です。
「まずは経費の見直しを行います。それでも改善しない場合は、ランチメニューの価格帯を広げる、テイクアウト需要に応える新商品を開発するなど、具体的な打開策を〇個考えています」と、冷静かつ柔軟に対応できる姿勢を見せましょう。
自信を持って面談に臨むために
融資面談でよく聞かれる質問とポイントを解説してきました。
面談成功の鍵は、何よりも周到な準備に尽きます。
想定される質問への回答を事前に準備し、声に出して説明する練習を繰り返すことで、当日も自信を持って落ち着いて話せるようになります。
事業計画書の内容を完璧に頭に入れ、どの部分を質問されても、自分の言葉で、情熱を持って、矛盾なく説明できるようにしておくことが理想です。