孫子の兵法(38~39/虚実編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

38)虚実編/自身が有利な状況を作り、敵を翻弄する

原文

孫子曰、凡先處戰地、而待敵者佚、後處戰地、而趨戰者勞、故善戰者、致人而不致於人、能使敵人自至者、利之也。能使敵人不得至者、害之也、故敵佚能勞之、飽能饑之、安能動之

書き下し分

孫子曰く、凡(およ)そ先に戦地に処(お)りて敵を待つ者は佚(いっ)し、後(おく)れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。
故に善く戦う者ものは、人を致して人に致されず。能く敵人をして自ら至らしむる者は、これを利すればなり。
能く敵人をして至るを得ざらしむる者は、これを害すればなり。
故に敵佚(いっ)すれば能くこれを労し、飽けば能くこれを饑(う)えしめ、安んずれば能くこれを動かす。

およそ戦地では、敵より先に有利な地を占拠して敵を迎え撃てば余裕が生まれ、後から敵の占拠する地に到着して戦えば苦しくなるものである。

戦いのうまい者は、自身が有利な立ち位置で相手を動かし、相手の思う通りには動かされないようにする。

敵の軍をこちらの望む場所に来させることができるのでは、敵に利益を示して誘導するからである。
敵の軍をこちらの望まない場所に来させないようにできるのは、敵にその害を分からせるからである。

戦いのうまい者は、敵が余裕をもって楽にしていればこれを疲れさせようとするし、敵の食料が豊富なのであればこれを飢えさせようとするし、敵が安心して落ち着いているのであればこれを動揺させるようにするものである。

39)虚実編/敵にこちらの動きを見せない

原文

出其所不趨、趨其所不意、行千里而不勞者、行於無人之地也、攻而必取者、攻其所不守也、守而必固者、守其所不攻也、故善攻者、敵不知其所守、善守者、敵不知其所攻、微乎微乎、至於無形、神乎神乎、至於無聲、故能爲敵之司命

書き下し分

其の趨かざる所に出で、其の意(おも)わざる所に趨(おもむ)く。
千里を行きて労せざるは、無人の地を行けばなり。
攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必ず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり。
故に善く攻むる者には、敵その守る所を知らず。
善く守る者は、敵その攻むる所を知らず。
微なるかな微なるかな、無形に至る。神なるかな神なるかな、無声に至る。
故に能く敵の司命を為す。

敵が来られない場所に出て、敵の思いもよらない場所に進出する。
千里の距離を行軍しても疲れないのは、敵のいない土地を進むゆえである。

攻撃して必ず攻略できるのは、敵の無防備な所を攻撃するためである。
守備して必ず守ることができるのは、敵が攻めてくることができない場所を守るためである。

攻撃のうまい者は、敵がどこを守ればよいのかが分からないようにする。
守りのうまい者は、敵がどこを攻めればよいか分からせないようにする。

なんと素晴らしいことかな、それはあたかも形のないもののようである。

なんと神秘的であるかな、それはあたかも音がないもののようである。

このように敵の運命をも支配してしまい、完全に主導権を握ることができる。

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