「孫氏の兵法」から学べること。
18)謀攻編/戦は、知恵と策謀で行うもの
故善用兵者、屈人之兵、而非戰也、拔人之城、而非攻也、毀人之國、而非久也、必以全爭於天下、故兵不頓、而利可全、此謀攻之法也
故に善(よ)く兵を用うる者は、人の兵を屈するも戦うに非ざるなり、人の城を抜くも、攻むるに非ざるなり。人の国を毀(やぶ)るも、久しきに非ざるなり。
必ず全きを以て天下に争う。故に兵頓(やぶ)れずして、利全くすべし。
此れ謀攻の法なり。
うまく戦を行う者というのは、相手の軍を屈服させるのにも相手と武力をもって戦うことなしに行い、城攻めをするにしても城を攻めることなく行い、敵国を破るにも長く戦うことなく行うのである。
敵を傷つけず完全な形で敵に入れようとし、天下を争おうとするのである。ゆえに自国の戦力を損なうことなく、完全な形で利益を得られるのである。
これが謀攻、つまり、知恵と策謀で敵を攻める戦い方の原則である。
19)謀攻編/味方と敵の兵力を考えて戦う
故用兵之法、十則圍之、五則攻之、倍則分之、敵則能戰之、少則能逃之、不若則能避之、故小敵之堅、大敵之擒也
故に兵を用うるの法は、十なれば則ち之を囲み、五なれば則ち之を攻め、倍なれば則ち之を分かち、敵すれば則ち能く之と戦い、少なければ則ち能く之を逃れ、若(し)かざれば則ち能く之を避く。
故に小敵の堅は、大敵の擒なり。
戦い方の原則は、味方の兵力が敵の10倍ほどであれば敵を包囲し、5倍ほどであれば敵を攻撃し、2倍ほどであれば敵を分裂させてから戦い、等しければ敵とうまく戦い、少なければうまく逃れるようにし、すべての面で力が及ばないようであれば戦を避けるようにする、ということである。
小さな兵力なのに無理に敵と戦ってしまったりすると、最後には大きな兵力である敵の虜となるだけである。
20)謀攻編/君主と将軍は密接な関係でなければならない
夫將者國之輔也、輔周則國必強、輔隙則國必弱
夫れ将たる者は国の輔なり。
輔、周なれば則ち国必ず強く、輔、隙あれば則ち国必ず弱し。
将たるものは、国の補佐役である。
補佐役と君主の連携が取れていればその国は必ず強くなり、連携が取れていなければその国は必ず弱くなる。