AIに仕事を頼むたびに「うちは〇〇業で、従業員は△名で」と会社の説明から始めているなら、その前置きは一度で終わらせられます。会社の基本情報・組織・自分の立ち位置をClaude Codeとの壁打ちでファイルにまとめておけば、以降の依頼はすべて自社の事情を踏まえた答えから始まり、そのファイルは融資や採用、社内の引き継ぎにまで使える経営の土台になっていきます。
ひつじ・染谷昌利「あらゆる仕事が爆速化する Claude Code徹底活用術」(日本実業出版社)を読んで。
Claude Codeに頼むたび、会社の説明から始めていないか
「うちは〇〇業で」の前置きに時間が溶けている
Claude Codeは、新しい会話を始めるたびに、こちらの会社のことを知らない状態から始まります。
前提を伝えなければ一般論の答えが返ってきて、伝えようとすれば本題に入る前に時間がかかるということです。
そのため、Claude Codeにメールの下書きや資料づくりを頼むとき、「うちは地域の工務店で、社員は12名、決めるのは基本的に社長の私です」といった前置きを毎回書くことになりますが、書籍では、この前置きにかかっていた時間が、15〜20分の壁打ちで自社プロフィールをそろえるだけでなくなり、以降の依頼は前提の説明を飛ばして本題から話し始められると紹介されています。
自社プロフィールは「会社・組織・自分」の3枚でそろえる
書籍で作るのは、次の3つのファイルと、それらの案内役になる「CLAUDE.md」です。
| 会社情報.md | 業種・規模・主なサービス・最近の動き・自社の強み |
|---|---|
| 組織図.md | 会社全体のつくりと、自分の部署の位置・報告のライン |
| 自分.md | 自分の役職・担当している範囲・関心のあるテーマ |
| CLAUDE.md | 「自社」フォルダの案内メモ。今後ファイルを増やすときの置き場所の方針も書いておく |
書籍は会社員の方を想定して部署や決裁のラインを書く形になっていますが、少人数の会社であれば、組織図は「誰が何を担当し、最後に誰が決めるか」の役割分担表と読み替えると使いやすいと思われます。
経営者自身が作るなら、自分.mdは「社長として何を担い、何を人に任せているか」を書く場所になります。
当事務所でも、顧問先ごとに「前提のメモ」を置いている
当事務所でも、同じ考え方でClaude Codeを使っています。
顧問先ごとのフォルダに、その会社の前提をまとめたメモ(CLAUDE.md)を置いているのです。
書いてあるのは、法人か個人事業か、決算月、使っている会計ソフト、記帳をどこまでお手伝いしているか、その会社だけの処理のルールや注意点といった内容です。
Claude Codeはその会社の作業に入る前にこのメモを読むので、「この会社は〇月決算で、会計ソフトは〇〇で」と毎回説明する必要がありません。
前提が会社ごとに分かれて置いてあることは、顧問先どうしの取り違えを防ぐ支えにもなっています。

Claude Codeとの壁打ちで自社プロフィールをそろえる手順
手順1:会社の公開情報と、社内事情の叩き台を用意する
完璧なメモを用意する必要はありません。
次の2つを、手元にある分だけ集めておきます。
- 会社の公開情報のURL
ホームページ・採用ページ・お知らせやプレスリリースなど。あればClaude Codeが業種や規模、サービス、最近の動きを読み取ってくれる - 社内事情の叩き台(5〜10行)
自分の立場、決める人と相談相手、今年力を入れていること、よく関わる取引先など、URLからは分からない事情をキーワードで並べる
両方そろっていればよりよく、片方だけでも進められます。
例えば、地域で工務店を営んでいる方なら、叩き台は次のような粒度で十分です。
- 自分の立場
代表取締役。見積もりと採用は自分が担当 - 決める人・相談相手
最終判断は自分、経理は家族の役員、税務は顧問税理士に相談 - 今年のテーマ
リフォーム部門の立ち上げ/若手大工の採用 - よく関わる相手
地元の設計事務所・協力業者5社・取引のある金融機関2行
手順2:作ってほしいファイルと保存先を伝え、壁打ちを始める
Claude Codeを開いたら、URLと叩き台と一緒に次の3点を伝えます。
- 進め方
「自社のプロフィールをそろえたいので、壁打ちの形で進めてください」と、質問しながら進めてほしいことを伝える - 作ってほしいファイル
会社情報.md・組織図.md・自分.md・CLAUDE.mdの4つと、それぞれに書いてほしい中身 - 保存先
「仕事用フォルダの中の『自社』フォルダ」のように、置き場所を決めておく
CLAUDE.mdは、Claude Codeが作業を始めるときに自動で読む設定ファイルです。
「このフォルダには会社・組織・自分の3つのファイルがある」「社内向けの文章や資料を作るときは必ず読むこと」と書いておけば、自社の事情を踏まえたうえで動いてくれるようになります。
なお、まだ公にしていない事業計画や人事の話、取引先と交渉中の条件などは、壁打ちで触れないか、ぼかして伝えるのが安全であると考えられます。
手順3:質問に答え、読んで直して仕上げる
送ると、Claude CodeがURLから会社の情報を読み取ったうえで、「リフォーム部門の立ち上げで、いちばん気がかりな点は何ですか」「見積もりの最終確認は誰がしていますか」といった質問を3〜5往復ほど重ねてきます。
15〜20分ほどのやり取りで、4つのファイルがフォルダにそろいます。
中身をざっと読み、気になるところがあれば「会社情報に主な取引先の業種も足して」「組織図に、急ぎの判断を誰に仰ぐかも書いて」と伝えるだけで、その場で書き直してくれます。
読んで納得できる仕上がりになったら完成です。

自社プロフィールをそろえると何が変わるか
効果は、AIへの頼みやすさにとどまらず、会社の運営そのものにまで広がっていきます。
前置きがなくなり、本題に集中できる
「うちは〇〇業で」という説明は、1回あたりは数行でも、毎日の依頼に積み重なると小さくない手間です。
自社プロフィールがあれば、メールの下書きでも資料の叩き台でも、依頼の最初の一文から本題に入れます。
書籍の言葉を借りれば、「説明する時間から、本題に集中する時間に」変わるということです。
一般論ではなく「うちの会社」に合った答えが返ってくる
前提を知らないAIの答えは、どの会社にも当てはまる一般論になりがちです。
従業員が10名ほどの会社なのか、100名を超える会社なのかで、ちょうどよい仕組みや手順はまるで違います。
会社の規模や業種、決める人が分かっていれば、提案の大きさや進め方が自社の身の丈に合ったものになります。
AIに頼んでも「うちには合わない」と感じることが減るのは、この前提があるからなのです。
自社のことを言葉にする、よい棚卸しになる
自社の強みや、誰が何を担っているかは、経営者にとって当たり前すぎて、改めて言葉にする機会がほとんどありません。
Claude Codeから「その強みは、どんな場面で発揮されていますか」と聞かれて答えるうちに、頭の中にあった会社の姿が文章として取り出されていきます。
書き出してみて初めて、「この仕事は自分しか分かっていない」「決める人が曖昧になっている」と気づくこともあると思われます。
AIのための準備が、そのまま会社を見直す時間にもなるのです。
融資・補助金・採用の場面で、そのまま土台に使える
会社の概要や強みは、Claude Codeに読ませる以外にも、繰り返し求められる情報です。
金融機関に出す事業計画書の会社概要、補助金の申請書にある「自社の強みと課題」の欄、採用ページの会社紹介、ホームページの事業内容など、同じ材料が形を変えて何度も必要になります。
そのたびにゼロから書くのではなく、自社プロフィールをもとに「この用途に合わせて整えて」と頼めば、用途に合った文章をすぐに用意できます。
どの書類を見ても同じ会社の姿が伝わるので、読む側の理解も得やすくなると考えられます。
スタッフとも「会社の前提」を共有できる
自社プロフィールは、人が読んでも分かるふつうの文章です。
新しく入ったスタッフに会社の全体像を伝えるときや、担当を引き継ぐときに、そのまま資料として渡せます。
社長の頭の中にしかなかった「うちはこういう会社で、こういう順で物事が決まる」という前提が、誰でも読める形で残るということです。
AIのために書いたものが、人に仕事を任せるための下地にもなります。
外部の専門家への相談も早くなる
自社プロフィールを手元に持っておけば、それを共有するだけで話の土台がそろい、相談の中身に早く入れます。
当事務所が顧問先ごとに前提のメモを置いているのも同じ理由で、前提がそろっていれば、相手が人でもAIでも、最初から的を射た話ができるのです。
会社が動いたら、1行書き足すだけでいい
自社プロフィールは、一度作って終わりではありません。
人の入れ替わりや担当の変更、期の変わり目で新しいテーマが決まったときに、該当する1行を書き足すだけで、Claude Codeはその日から「いまの会社」を前提に動きます。
当事務所では、半年経っても変わらない情報は顧問先ごとのCLAUDE.mdに、進行中の論点のように動く情報は別のメモに分けて置いています。
変わりにくいものと変わりやすいものを分けておくと、書き足す場所に迷わず、手入れを続けやすくなると思われます。

