AIの社会実装、特にビジネスでの利活用における”AIを開発するプロジェクト”の進め方について。
目次
AIプロジェクトにおける検討事項
そもそもAIを適用する必要があるか
- 「AIの特性」を理解したうえで、判断する必要がある
- 新分野展開の場合、AIの推論精度は期待できないものの、ゆくゆくデータ蓄積によりAIの活躍の場が広がっていくことが考えられる
- 初期はルールベース、データ蓄積後はディープラーニング、という考え方もある
- 目的を定め、コストと推論精度のバランスとを中長期的に見据え、利益計画・投資判断を考える必要がある
データのフィードバック機構をどのようなものにするか
- 「データ蓄積→フィードバック→AIが継続的に学習」
→推論精度向上
→より少ないコストで大きな成果を生み出すことができる - 初期から十分な推論精度を満たすことはまれなため、運用しながら推論精度を上げていく
- 時間軸に沿ったプロセスを組み込み、シミュレーションシートに落とし込んでみる
プロセスの再設計について考える
- 「BPR(Business Process Re-engineering)」=業務プロセス再構築
- 現プロセスのコストと、AI導入後のコストとを算出
→AI導入後のコストのほうが増大するようであれば、AIを適用する箇所と技術の連携範囲とを再検討する必要あり
(人の行う業務を分解し、それぞれの業務を設計し直す)
AIシステムの提供方法
- 作り上げたソフトウェアを納品するような形は望ましくなく、サービスとして提供し運用していくことが望ましい
- 「クラウド」→Webサービスとして提供していく。APIを用いてモデルにデータを送り結果を返す方法。
※クラウド等にモデルを置いて利用できるようにする(デプロイ) - 「エッジデバイス」→ダウンロードし、更新していく。現場側にデバイスを配備し、そのデバイスでモデルを実行する。ネットワークを通じてデータ蓄積や更新を行っていく。
クラウド | エッジデバイス | |
---|---|---|
メリット | ・モデル更新が楽 ・装置の故障がない ・保守や運用が不要 | ・リアルタイム性が高い ・デバイスで近くで処理するため通信量が少ない ・デバイスが限定されており、故障の影響範囲が小さい |
デメリット | ・通信遅延の影響を受ける ・ダウンするとその影響が大きい | ・モデルの更新が難しい ・デバイスを長期間保守運用する必要がある |
開発計画とプロジェクト体制の概観
- ①データ確認
②モデルの試作(PoC)
③運用を向けた開発を行う - 得られたデータの内容やモデルの精度に応じ、柔軟に方針を修正でいるような体制が望ましい
- マネージャー:全体を把握・意思決定
(目的に向け、どのモジュールでシステムを構成し、どの部分でどの手法で解くかを検討) - デザイナー:UI、UX
(AIモデルが正しく更新されるよう設計する)
※人もフィードバックすることで、業務遂行しつつ継続的にモデルを更新し続けられるようなデザインが重要 - データサイエンティスト:AIモデルの開発
(AIを用い、対象データの分析やモデルを構築する役割を担う)
※どのようなデータを利用すべきか、どのようにラベルを作成するかといった設計にも携わる