一度出来上がった会社の事業スタイルも、時代の変転にあわせて常に作り変え続けられなければ、生き残っていくことができません。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
今の職場環境にずっと続いて欲しい⇔環境は変化する
経営環境は、時代とともに変わっていきます。
市場は変わり、お客様の要求は変わり、価値観も変わっていくということはまず変わりようのない事実です。
一方で、会社組織は、ひとたびその体制が固まると、その体制に属する人は”ずっとその体制が続いて欲しい”と思う習性があり、これもまた過去の歴史から分かっている事実です。
本気で会社にできるだけ長く続いて欲しいと願うとしたら、この習性に逆らって、会社組織がその時々の環境に合わせていくほかありません。
そして、その大仕事ができるのは、経営者のみといっても過言ではありません。
今黒字部門でも、いつか赤字部門になる可能性
経営環境が変わるということは、「今は黒字部門でも、いつか赤字部門になるかもしれない可能性がある」ということを意味しています。
”赤字”ということをもっと具体的に言うとしたら、例えば、①売上が急激に落ちた商品がある、②赤字となった商品がある、③赤字となる取引先がある、といったことです。
「赤字であること」が分かったならば、その部門を壊すという決断に迫られることになります。
中小企業は、大企業と比べて経営資源の物量において劣っている分、赤字を抱え込むハンデが致命的になるリスクが高いため、その決断は的確に素早く行うにこしたことはありません。
壊す勇気、創る苦難
まずは、一度できあがった事業を「赤字である」と判定すること自体、非常に勇気の要ることです。
まずは、「定量的要素(数字の推移)」と「定性的要素(数字で掴めないお客様の変化)」とを、しっかり決断できる精度で材料を集める仕組みを作っておく必要がありそうです。
それは、ある程度のデータは揃っていてもなんとなくそのデータだけでは決断できない、、と思う程度の仕組みではいけないということを意味しています。
一度できあがった事業を赤字だと判定することには、そもそもそれだけ心理的な抵抗を伴うというハンデを理解しておく必要があります。
そのうえで、壊す決断をする必要があります。
そして、壊した後に、今後はこれが必要だと思った事業を創り上げていくには、創業時以上のエネルギーが必要になると考えられます。
短期的に利益が出ないかもしれないことなので、経営者自らが先頭に立って根気強く継続していく必要があります。
また、既存事業の従業員からすれば、異なるカルチャーに敵愾心を持つ人(自分の仕事が奪われるのではという疑心暗鬼など)も出てくることが考えられるので、それらの状況のなかで、新しいものを立ち上げていくということも容易なことではないものです。