決算直後のタイミングと正しい資料準備だけで、銀行側から”借りてください”と言われる状況を作ることも可能です。資金繰りを安定させる究極の「年一回調達」の秘訣と、適正な借入額を導き出す計算方法について。
銀行交渉は「決算直後」が勝負!有利に進めるベストなタイミング
銀行交渉を有利に進めるためには、「いつ行くか」が非常に重要です。
資金が必要になってから駆け込むのではなく、計画的に交渉を行うことで、足元を見られずに済みます。
ベストなタイミングは「決算書が完成した直後」
銀行との交渉において、最も効果的なタイミングは、決算書が出来上がった直後です。
具体的には、決算報告として会計事務所の担当者と一緒に支店長へ報告に行き、その場を交渉の「引き金」にするのが鉄則です。
- 狙い目の時期
半期の時期や、銀行が忙しくない2月・8月を狙うのが効果的です。 - 避けるべき日時
五十日(ごとおび:5日、10日など)の午後は銀行が繁忙のため避けましょう。
「年一回調達」を目指そう
都度借入をするのではなく、1年分の資金をまとめて調達する「年一回調達」を目指しましょう。
これにより、経営の計画性が評価され、銀行側も安心して貸付ができるようになります。
結果として、「借りてください」と提案されるような関係性を築くことができます。
「いくら借りるべき?」適正金額の計算式と社長が語るべき言葉
銀行へ行く際には、「なんとなく」で借入希望額を決めず、説得力のある根拠を示すために、以下の計算式を活用するとよいと考えられます。
借入額の計算式
手元資金を減らさないための必要借入額は、以下の式で算出します。
「必要借入額」= 「1年内返済予定長期借入金」ー「営業キャッシュフロー」
- 1年内返済予定長期借入金: 来年1年間で返済しなければならない金額
- 営業キャッシュフロー: 営業活動で得られる資金(概算で「経常利益 + 減価償却費」)
つまり、本業の稼ぎ(営業CF)で返済しきれない分を、新たな借入で補填するというロジックです。
社長と会計事務所の役割分担
交渉の場では、社長と会計事務所(または経理担当)が役割分担をして説明することで、信頼度が格段に上がります。
| 担当 | 説明する内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 社長 | 損益計算書 (現在・未来) | 売上の動向、主要取引先の状況、今後の見込みなど、 「未来」の話を中心に熱く語ります。 |
| 会計事務所 | 貸借対照表 (過去) | 数字の裏付け、返済計画の信頼性、財務改善の方針など、 「過去」の実績に基づいた補足説明を行います。 |
社長が最後に発するべき言葉は「細かな数値は担当者に任せたいと思います」というもので、これにより、数字に強い経営者という印象を与えつつ、細かな追及を専門家に任せる余裕を見せることができます。
銀行から「借りてください」と言われる企業になるために
銀行交渉の究極のゴールは、こちらからお願いするのではなく、銀行側から「良い提案があればお持ちください」と言える立場になることです。
銀行の格付けを意識する
決算書の内容によって、銀行内での「格付け」が決まり、それに応じた取引方針(積極推進、現状維持、消極など)が決定されます。
「積極推進」のランクに入れば、最大融資残高を超えてでも融資したいと銀行は考えます。
逆に、業績が悪くても正直に説明し、「増加運転資金(売上が増えて資金が足りなくなる前向きな資金)」であることを伝えれば、融資を引き出しやすくなります。
メイン銀行への集中戦略
有利な条件を引き出すためには、あえて「メイン銀行」を宣言し、預金や決済口座を集中させるのも一つの戦略です。
- メリット
預金を集中させることで実質金利のバランスが取れ、金利引き下げや返済期間の延長などの交渉がしやすくなります。 - 注意点
リスケ(返済条件変更)が必要な緊急時は、逆に預金を借入のない銀行へ退避させるなど、状況に応じた使い分けも重要です。
姿勢を変えれば結果が変わる
銀行交渉においては、「お金を借りたい」とお願いする姿勢を見せてはいけません。
「年一回調達」の計画を持ち、決算報告で堂々と自社の未来を語り、資金使途(運転資金や設備資金)を明確にする。
この準備さえ整っていれば、銀行はあなたの会社を「貸したい相手」として認識するはずです。
