ひとつの商品でも、お客様の立場や使い方によって、価値の見え方・見せ方は変わるものと思われます。
佐藤義典著「実践BtoBマーケティング」(日本能率協会マネジメントセンター)を参考にして。
立場・使い方によって、感じる価値は異なる
ひとつの商品でも、使う人の立場・状況・使い方によって、感じる価値は異なります。
つまり、”ひとつの商品にひとつの提案資料”ではなく、お客様ごとに感じるであろう価値を表現・提案することが必要といえます。
さらに、BtoBにおいては、顧客企業のなかにも様々な立場・状況の人もいるため、その点を理解しておく必要があります。
BtoBでは、どのように切り分けるか
BtoBにおいては、ひとつの企業のなかでも、”「会社」×「部署」×「個人」”に切り分けて考える必要があります。
会社
会社ごとに、商品に対して感じる”価値”は異なります。
業種・年商・従業員数・支店数・地域など。
例えば、メーカーや流通業においては「在庫」がありその在庫管理は常に大きな課題ですが、サービス業には「在庫」がなく在庫管理にはほとんど関心もなく価値も感じにくいものです。
また、同じ業種でも、会社ごとに課題や方針は異なるため、HPなどでその会社の想定課題や方針を十分に理解しておきたいところです。
自社を選んでもらうためにも、自社は競合よりも”ニーズによりよく応える”ことを十分に示したいところです。
部署
同じ会社でも、部署によって”価値の感じ方”は異なるものです。
どの部署と話すか、どの部署を想定して話すか、を理解しておきたいところです。
- 経営:利益向上、株価向上、資金繰り改善
- 開発:開発効率、アイデアの出しやすさ
- 生産:作業効率、コスト削減、安全性
- 広告:認知率向上、広告評価向上
- 営業:売上向上、顧客満足度向上、営業効率
- 総務:管理しやすさ、業務効率
- 人事:従業員満足、人員確保、離職率低減
- 経理:コスト削減、業務効率、不正防止
- IT:安定性
個人
同じ会社・同じ部署でも、担当者個人によっても”価値の感じ方”は異なるものです。
- 役職
- コミュニケーションの相性(正確さ重視、成果重視、安定重視、創造性重視など)
- リテラシー(高:カスタマイズ性を求める、低:安心度を求める)
- リスク許容度
顧客企業の組織図・課題を考える
顧客企業のHPやこれまでの接触履歴を総合してみると、その会社ごとの組織図・想定される経営課題などをあらかじめ予想することが可能になります。
それぞれの会社のそれぞれの状況に応じた商品の”価値”の示し方を練ることが可能になります。
また、決裁ルート・他部署との力関係などもしっかりと押さえておくことで、直接やり取りをしている担当者やその部署の背景を踏まえた動き方をすることが可能となります。
取引履歴から傾向を考える
名刺・各担当者の性格に関する情報を総合する
名刺を集めようと行動するなかで、同時に、各担当者の性格を把握することができます。
そのうえで、その会社の組織図と人物相関図を作ることで、誰が決裁者なのか・誰がキーマンなのかを事前に把握することができます。
見積り・請求に関する履歴を残す
その会社からの見積りやその会社への請求を、随時、書面・PDFなどで出すようにしておくことで、履歴が残ることになります。
その会社が、普段どのようなことを求めているかの傾向を把握することが可能になります。
また、取引先全体の動向を見るなかで、新規開拓数と中途解約数を把握することができますが、中途解約を止める方法なども考えたいところです。
取引先ごとに、普段求めているニーズを、実際の見積り・請求の履歴から探すことで、「普段求められている商品のアピール増強」や「より求めている分野の他の商品は何か」などといったことを考えることができます。