差別化戦略としてどのような戦略を取るかによって、会社が醸成すべき文化も異なってきますし、逆算して人事評価も考える必要があります。
佐藤義典著「経営戦略立案シナリオ」(かんき出版)を参考として。
差別化戦略の3つの軸
佐藤義典著「経営戦略立案シナリオ」(かんき出版)では、差別化戦略を考えるには、”顧客の3つの欲求・価値”に基づき、同じく3つの軸に大別されるとされています。
- 手軽軸(価値:早さ・安さ・近さ・便利さなど)
- 商品軸(価値:高品質・最新)
- 密着軸(価値:自分仕様・カスタマイズ)
採用した差別化戦略によって、文化醸成の方向性も変わってくる
差別化戦略の3つの軸のうちどのような軸を中心にするかによって、会社が育てるべき文化(=ソフト資源)の方向性も変わってきます。
文化を育てるのは、なんといっても会社にいる「人材」となります。
会社が、どのような人材に育ってもらいたいと思っているかについての強いメッセージを発することによって、所属するスタッフの価値観や会社が醸し出す世界観も変わっていくことになります。
具体的には、「人事評価」の仕組みということになります。
何ができる人材であれば、会社にとって望ましい人材であるとして評価するのか。
差別化戦略の3つの軸と文化イメージ
- 手軽軸:てきぱきを最善とする文化
- 商品軸:品質・技術に燃える文化
- 密着軸:顧客への愛に溢れる文化
差別化戦略3軸と人事評価例
佐藤義典著「経営戦略立案シナリオ」(かんき出版)で紹介されている差別化戦略の3軸と人事評価の例をまとめると以下となります。
手軽軸 | 商品軸 | 密着軸 |
---|---|---|
・基本:「顧客数」「効率性」 ・顧客数、リピート率 ・顧客獲得数、購買頻度の高さ ・効率の高さ、原価の低さ ・生産費用の低さ ・信頼度(事故率) ・回転率、待ち時間の少なさ | ・基本:「新商品数」「新商品の評判や成績」 ・新商品数、売上に占める割合 ・開発頻度、新商品売上 ・新商品の品質満足度 | ・基本:「顧客からの評価」「顧客維持率」 ・顧客維持率、リピート率 ・顧客意見吸上 ・顧客からの評価 ・顧客の品質満足度 |
これらの指標を参考としつつ、社員のどのような行為に対して評価・表彰をするのか、といったことも考えたいところです。
一人の人間が、等しく「効率的」かつ「創造的」かつ「気配り」であるということはほぼあり得ないものですし、どの軸に依って立つのかは重要であるといえます。
文化は短期で醸成しない
文化の醸成は、一朝一夕でできるものではないものです。
例えば以下のようなことを地道に行っていくことにより、徐々に醸成されていくと考えられます。
- 経営者のメッセージ
- 組織の体制
- 評価・表彰
- 経営者の行動
- 人の性格
- コミュニケーション
- 価値観
一朝一夕にできるものではないからこそ、容易に売り買いできず、「独自資源」になり得るということになります。
だからこそ経営者は、文化(人材の雰囲気)をデザインし、その文化や戦略に基づいて社員が喜んで行うような土壌・仕組みを作る必要があります。