”誰でもいいから買って欲しい”は”顧客を絞らない”ということでもあり、結果、誰からも選ばれないということにもなります。
佐藤義典著「経営戦略立案シナリオ」(かんき出版)を参考として。
顧客を絞らなければどうなるのか
創業当初は特に、”誰でもいいから買って欲しい”と思いがちです。
確かに、顧客層を絞ると客数が限られるゆえに売上が下がりそうに思えるものです。
しかしながら、自身が買う側(顧客側)で考えてみると容易に分かることですが、何かを購入しよう・利用しようと思うとき、「自分により役立つ物・サービス」と「とりたてて特徴のない物・サービス」とではどちらを選ぶのか。答えは明確で、「自分により役立つ物・サービス」が選ばれるということになります。
顧客は、常に複数の選択肢のなかから比較検討し、購入決定します。
”誰でもいいから買って欲しい”という「とりたてて特徴のない物・サービス」では、特定の顧客のニーズにより身近に迫った「特定の方により役立つ物・サービス」には到底勝てないということになります。
つまり、顧客層を絞らない場合、顧客層を絞る競合にことごとく勝てないため、そもそも十分な売上すら立たないということにもなってしまいます。
リソースは有限
顧客を差別すべきではないと思ったとしても、すべての顧客のニーズに逐一沿った商品・サービスを揃えるということは現実的に不可能です。
いかなる企業も、リソースは有限です。
であれば、自社が本当に役に立ちたい顧客に対して確実に届けていくことに専念するほうがよいと考えられます。つまり、顧客を絞る、ということです。
絞ることは怖いからこそ、真剣に考える
一方で、絞ることは怖いことでもあります。
ターゲット以外の顧客層へ届けることをあきらめたうえで、さらに、ターゲットとなる顧客層に選ばれなければ、売上は上がらないことになります。
また、絞り込みすぎても、十分な売上は上がりません。
ゆえに、真剣に考える必要があります。
顧客にとって価値あるものは何なのか、どのような競合を想定するか、自社にとっての独自資源は何か、自社の強みは何なのか。