融資申請する場合、その借入の「資金使途」を必ず聞かれます。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
「資金使途」は重要
融資を申し込む際、「資金使途」は非常に重要であると考えられます。
事業における何らかのために資金を必要としているはずで、経営者がそれを明確に理解できているかが問われることになります。
資金使途が不明であると、銀行は融資は実行しないものです。
設備資金、運転資金
設備資金
設備投資するための資金。
例)土地建物、機械、車両、ソフトウェアなど。
運転資金
仕入れや諸経費支払いのための資金。
「資金使途」を整理しておく
「資金使途」には以下のようなものがあります。
資金使途に違反するとどうなるか
資金使途違反とは、融資申込みのときに申し出た資金使途とは異なる使途で融資金を使ってしまうなどした場合のことをいいます。
金融機関に、この資金使途違反が発覚した場合、一括返済が求められる場合があります。
あるいは、融資が受けられなくなってしまうといったことも考えられます。
さらに、保証付き融資であった場合、保証協会そのものとの約束違反となるため、最悪の場合、保証付き融資そのものを受けることができなくなる場合も考えられます。
ありがちな資金使途違反
設備投資と偽って、運転資金に使ってしまう
設備投資のための資金として融資を受けたお金を、設備を購入せずに運転資金(仕入・経費など)に使った場合、融資申請の際に述べた資金使途を偽っていることになります。
銀行側は、以下のような方法で、資金使途違反とならないようチェックしています。
- 見積書・領収書などの提示を求める
- 設備会社への支払いの事実を確認する
- 設備購入の事実を現地確認する
- 設備会社への支払いを銀行が代行する
- 融資後の決算書で固定資産が計上されているかを確認する
融資前に設備代金を支払ってしまう
設備資金の場合、段取りに注意が必要です。
まずは融資を受け、その融資の着金後に設備代金を支払う、という流れになります。
特に保証協会はこの順序に厳しいため、注意が必要となります。
プロパー融資や公庫融資の場合、融通が利く場合も多いため、順番を逆にする場合、事前に相談しておいたほうがよいものと思われます。
運転資金で借りたお金を個人に流用してしまう
運転資金(事業用の仕入・経費など)として借りた資金を、社長など個人へ貸し付けると、資金使途違反となります。
決算書で、社長個人への貸付金が増加していたりすると、銀行からは個人流用を疑われてしまうことになります。