銀行における決算書の捉え方④

銀行では、融資申請する企業の決算書をどのように捉えているか。

諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。

目次

銀行は決算書を修正して審査している

銀行では、融資申請する企業の決算書を精査し、実態に合うものへと変換したうえで融資審査を行います。

決算書の科目に対して、どのような視点をもっておくとよいか知っておいたほうがよさそうです。

負債の部

買掛金・未払金・未払費用

  • 毎年記載されている買掛金の支払先が今年記載がない場合、仕入計上を先送りしたのではないか
  • 未払金・未払費用についても、毎年記載があるものが今年記載がない場合、計上を先送りしたのではないか
  • 社会保険料に滞納があるが、計上していない(給与とあるべき法定福利費のバランス比較)

支払手形

  • 支払手形を簿外処理していないか(支払手形回転期間)
  • 買掛金を簿外処理してないか(買掛金回転期間)
    →回転期間が短くなった場合、あらかじめ伝える
  • 回転期間が長くなっていないか(資金繰りが厳しく支払いを待ってもらっていないか)
  • 資金繰り予定表・経営改善計画書を提出する

借入金

  • 平均借入金利はどうか(ノンバンク等から高利の借金をしていないか、簿外債務がないか)
    →平均借入金利が高い場合、短期借入の借入返済があったなど、あらかじめ伝える

前受金

  • 毎年記載されている前受金が今年記載がない場合、先行して売上処理したのではないか(粉飾していないか)

引当金

  • 貸倒引当金の計上がないのはなぜか
  • 賞与引当金・退職給付引当金はあるべきか

役員借入金について

  • 銀行は、基本的に、役員借入金を自己資金をみなす(→会社にとって有利な修正)
  • 上記の理由から、役員借入金は独立した勘定科目で、固定負債(すぐに返済する必要のないもの)に計上する
  • 銀行から借りられないから役員個人から借りているのではないかとみられないよう、生じた経緯を説明する
  • 役員借入金の原資を明示する(ノンバンク等からではないことを示す)
  • 個人にとって債権であり、相続税の対象となる

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