融資申請はいつするのがよいタイミングなのか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
融資申請はいつするものなのか
事業における融資申請はいつするのがよいタイミングなのか。
なんとなくで考えてしまうと、「お金がなく困ったとき」と考えがちです。
ただ、お金を貸す側の立場で考えてみると、「お金がなく困ったとき」ほど、返済してもらえるメドが経ちづらく感じますしお金を貸しにくく感じるものです。
なので、「お金がなく困ったとき」というのは、融資申請のタイミングとしては逆に避けたいところということになります。
つまり、いつするのがよいタイミングかと考えると、すなわち「貸す側が貸しやすいタイミング」ということになります。
具体的には、以下のようなタイミングが考えられます。
- 税務申告終了直後
- 手元に資金が十分なとき
- 赤字転落前
融資申請のタイミング③赤字転落前
赤字になってしまうと銀行は返済能力に疑問を持ってしまいますし、黒字のうちに融資申請したおいたほうが審査はスムーズとなります。
では、赤字転落前であることをどのように察知し、どのように対策すればよいのか。
決算予測する
決算が赤字で着地した場合、それでもって向こう1年のその会社の銀行における格付けが決まってしまい、銀行の融資姿勢に当然影響が出るということになります。
一方で、決算が赤字で着地するかどうかは実際に着地してみないと分からないものではありますが、逆にいえば、着地してからはじめて赤字であることが分かっても手の打ちようがないともいえます。
しかしながら、事前に決算が”赤字転落前”になりそうかどうかを予測していくことは可能であると思われます。
つまり、定期的に決算予測を行っていくということです。
先行きが分からない場合でも、たたき台となる数字(前年比、当期実績の推移など)で予測することは可能ですし、そのたたき台をベースに、経営の肌感覚でもって修正を加えるという選択肢も取り得ると考えられます。
試算表を定期的に作成する
融資申請で最も重視されるのは決算書ですが、試算表も(決算書ほどのウェイトはないまでも)審査の材料として大きく活用されています。
よって、「決算書でも黒字、試算表でも黒字」が最も望ましい状態といえます。
決算書では黒字でも、試算表ベースで以下のような観点から、赤字転落前であるかどうかにも気を配ったほうがよいと思われます。
- 試算表の単月で赤字ではない
- 試算表の期首から累積ベースで赤字ではない
赤字でも融資は受けられるか
赤字では融資が受けづらくなるものの、以下のような場合であれば、融資を受けることができる余地があると考えられています。
- 本業以外が赤字である(営業利益はプラスだが、特別損失等でマイナスになっている)
- 2期or3期合算で黒字である
- 経営計画書を作成し、黒字化のために実際に行動している
- 赤字でも、手元の現預金が多い
- 現金化できる資産がある(不動産など)
- 銀行取引で融資以外の取引もある(振込取引など)